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留年した人ほど社会で活躍できる? ITベンチャーの意外な採用哲学

ビジネス

――数々のユニークな採用企画の中でも気になったのが「長高学歴採用」です。「超」ではなく「長」というところに引っかかりました。

末崎:この制度は、学歴が高いにもかかわらず、卒業まで時間のかかってしまった人、つまり長期にわたって、留年をしてしまった新卒生を採用するものです。

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「採用では会社全体での採用人数を事前に決めず、人事部が各プロジェクトチームにヒアリングして決める」

――たとえ学歴が高くても、ストレートで卒業できない学生は不真面目というのが一般的なイメージだと思うのですが……。

末崎:いい大学に入ったのに留年を繰り返してしまう人って、在学中に何かに打ち込んでしまってることが多いんです。かくゆう私も東京大学で演劇にハマってしまい、3年間留年したんです。

 もちろん、ダラダラと無為に時間を過ごしたせいで卒業が遠のいた人は別です(笑)。でも、卒業そっちのけでなにかに没頭した人は、ハマる力や集中力が強い。その力がDonutsで重宝されるんです。

――なるほど。

末崎:また、4年で大学を卒業した優秀な人材は大手企業に取られるんですよ。その一方で、何度も留年した学生は大手企業では見向きもされない(笑)。その就活の“当たり前”を逆手にとった採用企画ですね。

学生は成長とやりがいを求めている

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オフィスにあるオープンスペースは、「コラボレーションルーム」と呼ばれ、全社会議や説明会、社員のくつろぎの空間として利用されています

――「肉会」という採用制度はどんなイベントですか?

末崎:肉会はその名の通り焼肉しながら社員と就活生が懇談する場です。ざっくばらんな食事会のほうが、面接やOBOG訪問よりもお互いのことが知れるので、就活生はもちろん、社内や就活生にも「進路相談のような感じだったので気軽に行けて楽しい」と好評です。

 もうひとつ「プレミアムオフィスツアー」という制度はダイレクトリクルーティングといった趣旨で、人事部が高級寿司を食べる場をセッティングし、社長と就活生で実際に進路や会社の方針について話してもらいます。

――ブラック企業の問題などがあり「働き方改革」が盛り上がっていますが、今どきの新入社員は何を求めていますか?

末崎:弊社がベンチャー企業なので一概に言えませんが、ライフワークバランスよりも「成長」を求める傾向がありますね。やりがいがあって、成長が望めるのであれば、ハードワークも辞さないと。ただ同時に、それに見合った適切な人事評価を期待しているので、人事部としても緊張感はあります。

――ITベンチャー企業はどのような人材を求めていますか?

末崎:IT系のサービスは、リリースしてから「今が勝負時」というホットなタイミングが明確にあるんですよね。だからこそ、その瞬間に全力を注ぐことのでき、フットワーク軽く臨機応変に動けるような学生を望んでいます。

 ただ、エンジニアやデザイナーは、弊社の場合、採用段階でスキルを見て判断します。学生のうちからコーディングを覚えてサービスを作っている人も今では少なくないので、そういった能力の高い学生を採用していますね。

<取材・文/安里和哲 撮影/林紘輝(本誌)>

沖縄県出身。青山学院大学(国際政治学専攻)卒業後、フリーのライターとして活動中。
得意な分野はインタビュー、映画批評、書籍レビューなど。 Twitter : @kzak325

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