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スシローが業績絶好調。テイクアウトだけじゃない4つの理由

ビジネス

業績不振の京樽は将来的に重しとなる?

京樽

京樽中野南口店

 ここまでの内容をまとめると、スシローの業績が好調なのは4つの理由がありました。売上への影響が2つ、営業利益への影響が2つです。

 1つ目は京樽の買収で売上高が押し上げられたこと。2つ目はロードサイド型の出店形態が多く、客数を大幅に落とすことがなかったこと。3つ目は魚の仕入価格が安くなって原価率が下がったこと。そして政府補助金の収入があったことです。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は2023年まで続くという見方が多く、現在の生活様式が続く限りスシローにとって追い風が吹くことは間違いなさそうです。ただし、一抹の不安がつきまといます。買収した京樽です。

 京樽はかつて吉野家ホールディングスの子会社でした。吉野家は京樽の業績不振に長らく悩んでいたのです。2020年2月期の京樽の売上高は285億4400万円、事業利益は4億5700万円でした。利益率が1.6%と、極めて低いのです。

 仮に2023年にコロナ前の生活が戻ったと仮定します。宴会が増え、旅行者が来るようになれば、魚の価格は再び上昇するでしょう。テイクアウト需要は縮小するかもしれません。スシローにはファンも多く、ロードサイド型の店舗は引き続き強みを発揮すると予想できますが、仕入価格の上昇と薄利の京樽が重くのしかかり、利益を圧迫するかもしれません

 いずれにせよ、スシローがコロナ収束後にどのようなかじ取りをするのか、目が離せません。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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