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時短無視で売上9割増のグローバルダイニング。外食産業1人勝ちでも見えてきた“限界”

ビジネス

資金繰りや賃料の支払いに苦しむ様子も

 なお、2019年度の最終利益-3.3億円は店舗閉鎖関連の減損損失が影響しています。そしてコロナ禍の2020年度は緊急事態宣言下で時短営業や臨時休業を実施した影響で4月の国内既存店売上高が6割減まで落ち込みました。その後は回復傾向だったものの、既存店売上高は前年の水準に届かず通年業績は大幅減となりました

 同社の展開する店舗はディナーレストランや居酒屋が多く、居酒屋チェーンのようにコロナ禍で大打撃を受けたようです。2020年12月期の決算資料には「継続企業の前提に関する重要な不確実性」の記載(※)があり、資金繰りや賃料の支払いに苦しんでいる様子が分かります。

※事業活動が継続することについて重要な問題がある場合、決算短信などの財務諸表上に注記することが監査基準により決められている

宣言無視でコロナ前の水準に回復

長谷川社長の声明

「緊急事態宣言の発令に関して、グローバルダイニング代表・長谷川の考え方(2021年1月7日現在)」※同社ニュースページより

 2020年度は7.3億円の短期借入金で乗り越えましたが、自己資本比率は53%から33%まで急落し、財務の健全性も不安定なものとなりました。急な業績の悪化が社長を吹っ切れさせたのかもしれません

 2021年度は年初から政府方針の無視し、一部店舗を除き通常通り営業を続けました。多店舗が閉店のなかで営業を続ければもちろん飲みたい客は集まってきます

 決算資料によると最新、2021年度第2四半期の成績は売上高47.1億円(前年同期比+92%)、営業利益4.6億円(黒字化)、最終利益5.9億円(黒字化)と、前年比で大幅な増収を記録しました。

 2019期第2四半期の売上高46.8億円と同等であり、コロナ以前の水準に回復していることが分かります。

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