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コロナ病棟の看護師が語る闘い「同業者からも冷たい言葉が」

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「本当に平気なんですか?」の一言にショック

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※イメージです

 コロナ禍になり、医療者が差別を受けるケースが増えた。SNSやメディアでも多く取り上げられている。ただその多くは一般人からの差別だ。Mさんが受けたのは同じ病院で働く医療者からの差別だったという

「病棟間での物品の貸し出しはよくあることなんです。その日も、物品の貸し出し依頼があったので『取りに来てください』と言いました。そしたら『え、そちらに行かなきゃいけないんですか?』と聞かれたんです」

 Mさん曰く「物品を取りに行くのは感染するリスクが高いから難しい、そちらから届けにきてほしい」と言われたとのこと。それが初めて同じ医療者から受けた心ない言葉だったという。他にもMさん自身の体験ではないが、差別ともとれる出来事はあったと語る。

「同僚は、出勤時のエレベーターで自分が降りる階を押したら、あからさまにこっちを見て嫌な顔されたと言っていました。私の病棟を担当する看護助手さんも、同業者に『そんな感染リスクが高いところに荷物を置かないで私たちのところに置いたら?』と提案されたそうです。でもいざその提案にのったら、提供された場所が汚物室だったみたいで。コロナ専用の病棟に勤めているだけで、他はすべて同じ医療従事者。よくそんなことができるなって思いましたね」

 現在もコロナ専用の病棟で働き続けているMさん。時が経ち、感染予防策は確立されたそうだ。ただ心ない言葉は稀に耳にするという。さまざまな苦痛を受けながらも、看護師を続けている人は多いだろう。彼らに1日でも早く、安心して働ける日がくることを願うばかりだ。

<取材・文/トヤカン>

大学病院の正看護師からフリーライター・イラストレーターの道へ。医療と看護の業界で得た知識と経験をもとに、医療書籍の書評から取材記事、コラムまで幅広く執筆。昨今はLGBT関連の記事執筆・イラスト制作にも携わっている。
Twitter:@toya_kan_dazo

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