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コロナ病棟の看護師が語る闘い「同業者からも冷たい言葉が」

ビジネス

変わっていく患者、減っていくスタッフ

「コロナ患者として入院してきた人は、退院するまで1歩も外に出られない決まりでした。患者さんにとってはかなりストレスですよね。そのせいで、入院初日はすごく穏やかでも、2週間経つころには看護師に『ふざけるな!』『いつまでここにいなきゃいけないんだ! 早く治せ!』といった罵声を浴びせるくらい豹変した患者さんもいました。でも、彼らにもストレスのはけ口がなかった。僕らが自然とその対象になるのは仕方なかったのかもしれません」

 頭ではわかっていても心が追い付かなかった。でもみんな同じ気持ちだから自分だけ弱音は吐けない。ストレス発散も難しかった。友達と会ってしまえば感染を広めかねないからだ。Uさんは、そんなモヤモヤを抱えながら日々を過ごしてきたという。

 そして2020年12月、Uさんが恐れていたことが起こる。同僚がコロナにウイルスに感染してしまったのだ。その日を境に、感染が判明し、休むスタッフの数はどんどん増えていき、「他病棟から助っ人の看護師を招集しなければ業務が回らない状態にまでなった」とUさんは語る。

心は折れ、コロナと無関係の病棟へ異動

看護師

すでに心はボロボロだったという、Uさん

「助っ人に来てくれるのはすごくありがたかったです。でもそれ以上に、不安が大きかったですね。一定のタイミングで助っ人のメンバーが変わっていたので、その人たちにコロナウイルスが感染して、他の病棟に広がってしまわないかと。自分たちのせいでパンデミックにならないように祈るばかりでした……」

 この時すでに心はボロボロだったという。現在、Uさんは数か月間の休職を経て、コロナとはあまり関わりのない病棟へ異動した。休職すると決めたころの心境を、こう語る。

『いつまでこんな状態が続くんだろう?』と思っていました。夏に一度、感染者数が少なくなって収束するかなと思ったら、秋には第2波。重症化する人も増えてますます負担が大きくなりました。回らない業務、終わらないコロナとの闘い、自分の無力さ。仕事が終わって家に帰っても医療者としての行動が求められる日々。心が折れてしまったのはそんな思いでいっぱいになったからです。もう精神的に持たないなと思って休職を選択しました」

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