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「おみそならハナマルキ」社長に聞く、コロナ禍の新食生活「大きな変化が起きている」

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スーパーマーケットの台頭が歴史を変えた

 ハナマルキが1世紀にわたって支持されてきた理由を、花岡氏は「安定した商材を、安定した販売状況で作れたこと」とし、次のように語る。

ハナマルキ

定番商品のひとつである「カップおかあさん合わせ 650g」

「味噌は日本で1000年の歴史を持ち、今も昔も日本人の生活には欠かせないものです。概して、味を大きく変える要素もないですし、全体の需要もそこまで変化しないのが特徴です。

 ただ、戦後起きた革新的なことといえば、それまで酒屋で塩やみりんと同様に味噌も量り売りされていたのが、スーパーマーケットが台頭したことで、パッケージに入れて販売するようになったこと。これが味噌のマーケットを大きく広げる要因になりました。当社も新たな販路拡大や設備投資、技術革新などを怠らず、さらには『おみそならハナマルキ』といった広告宣伝にも力を入れた結果、シェアを伸ばせたと思います」

 味噌という商品は2~3年という長い発酵期間を経て商品化をする。先代からの姿勢を崩さずに味噌づくりへと励んだことのが、ハナマルキが業界を代表する存在になれた要因なのかもしれない。

日本酒の蔵見学が源泉「液体塩こうじ」

 しかし、花岡氏が入社した1970年代は1400社に上る味噌メーカーが存在したものの、現在は800社へと減少。少子化などで味噌市場は年々縮小しており、新たな市場開拓が求められている。

ハナマルキ

2012年より発売を開始した「液体塩こうじ」

 そんななかで2012年に立ち上げた「液体塩こうじ」事業がヒット、主力の味噌事業に次ぐ売上規模にまで成長。参入経緯について花岡氏は「日本酒の蔵を見学しに行ったときに、アイデアの着想を得た」とし、次のように説明する。

「日本酒造りには欠かせないもろみを作る工程を見たときに『塩こうじも同様に、圧搾して絞ることで酵素の成分を抽出できるのでは?』と思いつき、開発担当者に試しにやってみるように伝えました。液体化させてもこうじの栄養成分が残存するかが重要でしたが、問題なく十分に栄養成分が確認できたので、商品化に向けて動きました。

 ただ、同業他社も同じような商品を出すことになれば、必ず高いか安いかの価格勝負になってしまう。そうならないためにも、市場にいち早く出すことを意識して液体塩こうじを作ったのです。こうじを液体化させる独自の製法で特許も取得したので、まさに唯一無二の商品を出すことに成功しました」

 当時は塩こうじブームで、約40社のメーカーから発売されていたものの、液体の商品は皆無だった。大手スーパーでの取り扱いもすぐに決まっていき、液体塩こうじは順調に売り上げを伸ばしていった。

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