“こども店長”から10年…28歳女性ラーメン店主「汁なし担々麺を世界に広げたい」
汁なし担々麺の名店「自家製麺ほうきぼし 赤羽駅前店」は、昼時や夕方は曜日を問わず行列が絶えない。若い女性やカップル、サラリーマン、近所に住む老夫婦など、客層は多彩。お店の1番人気はもちろん、「汁なし担々麺」。店主の毛利友紀乃さん(28歳)が10年前に開発し、「家族の一員」と語るほど思い入れのあるメニューだ。
2011年4月、高校を卒業してすぐに店をオープンした友紀乃さん。当時18歳の若き女性ラーメン店主はメディアの注目を集め、大きな話題を呼んだ。 あれから10年の月日が流れ、ほうきぼしは今年の4月に10周年の節目を迎えた。自ら“こども店長”と名乗っていた友紀乃さんも28歳の大人の女性となり、店の経営者として日夜奮闘している。
「どんどん新しいことに挑戦して、外に発信していきたいですね」と語る彼女を突き動かしているものとは、いったい何なのだろうか。そもそもなぜ、18歳の若さでラーメン店主になったのだろう?
母親からの提案で店をオープン
10年前、高校3年生だった友紀乃さんは進路に悩んでいた。自分のやりたいことがなかなか見つからなかったという。
「目標もないのに、高いお金を払って大学や専門学校に行くべきなのか、疑問を感じていたんです。ほかの人と違うことがしたいという思いもありました」
そんなとき、友紀乃さんの母・恵美さんから思いもよらない提案が。閉店したばかりの近所のラーメン店を居抜き物件として活用し、一緒にラーメン店を開こうというのだ。
「母の提案を聞いて『やってみたい!』と思いました。不安を感じないくらい何もわからないような状態だったんですが、勢いでチャレンジしましたね」
2011年3月、母・恵美さんの後押しもあり、友紀乃さんはラーメン店の開業を決意する。「中途半端にやるのではなく、責任感を持ってほしい」という恵美さんの思いもあり、友紀乃さんが店主をつとめることになった。
看板メニュー「汁なし担々麺」誕生の背景
中華料理屋を営んでいた祖父の影響で、もともと料理に親しんでいた友紀乃さん。家族に自作のラーメンを振る舞うこともあり、ラーメン作りの素養があった。「せっかくなら、自分たちのオリジナル商品を出したい」という思いで、ラーメンの研究と開発を繰り返す日々が続いた。
「私が辛いもの好きだったこともあり、生粋のラーメン好きである父親と一緒に研究しながら『汁なし担々麺』を開発しました。完成したときは、家族で『これはおいしい、これはいける!』と言っていましたね(笑)」
店の看板メニューとして誕生した汁なし担々麺。自家製麺は試作を重ね、モチモチの食感を実現。トッピングのナッツと手作りの“揚げ麺”によって、飽きのこない歯ごたえを楽しめる。味付けの核となるラー油は、10種類のスパイスをブレンドしてつくられた。ピリ辛の担々ダレも自家製にこだわり、とにかく“おいしさ”を追求したという。
そんな自信作を引っさげて、2011年4月11日、友紀乃さんは「自家製麺ほうきぼし」をオープン。開業を決意してからわずか1か月でのスピード出店となった。