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上司から嫌われる「惜しい社員の口ぐせ」ワースト3

学び

3)経営者をもっともイラつかせるセリフ

「マーケティングに投資をすれば売れるようになる」

 営業マンに限定したセリフですが、これからどう売っていこうかという議論をしている場面で言われると、管理する側としてはもっとも腹の立つセリフです。

 一方で厄介なのが、これもまた真実でもあることがあります。

 まだこのセリフだけで会話が終わっていればいいのですが、おおよそこれに続くのが、競合他社がいかにうまくやっているのかについての流暢な解説だったりもします。それもまた事実であったりもします。

ビジネス 退屈

 少なくとも競合他社よりは資金力の乏しい状況であれば、その制約条件のなかでどうやりくりして結果を出していくかということを前提に方策を考えなければいけません。

  ところが、あえて会社の状況を秘密にしているケースも多々あるのに、まったくその状況を理解しないまま、勉強熱心であればあるほど「他社がどうやっているのかを教えてあげなればならない」としてすらすら話したりもします。

  いろいろと言い分はあったとしても、「それを言っちゃあ、おしまいよ」というセリフを控えるのが大人というものです。思慮が欠けているということの証左なのかもしれません。

 また、優位な場を作ってくれという要望は、突き詰めてしまえば、営業する必要がなくなる場ですので、自分で自分の首を絞める論理につながっていることに気づかない鈍感さも問題でしょう。

“筆者が目撃した事例では…

 以前、私が目の当たりにした例では、ある大企業を定年退職した営業畑のOBを雇った中小企業がありました。前職でのネットワークを使った新規顧客開拓を期待したのですが、一向に獲れません。

 そのことを徐々に打ち合わせなどで詰められるようになってきて飛び出したのが、

「だいたい、相手の会社の株を持ち合ったりして初めて円滑な取引が成立するもんなんだ。それをやらずしてなんて、土台無理な話だ」

 といった主張でした。会議室が水を打ったような静寂に包まれていました……。

 真面目で勉強家であったとしても、状況を理解してその制約の中で頑張ろうという姿勢を持てない限りは、評価されなくなってしまいます。いつも事実や理想を言えばいいということではなく、取り巻く環境を想像して話す感度が必要です。

<TEXT/中沢光昭>

経営者として破綻会社や業績低迷企業の再建・変革実績を多数持つ。また、事業承継の受け手として事業会社も所有。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社新書)、『経営計画はなぜうまくいかないのか?』『事業承継による、中小企業を売却するときの基本の「き」』などがある

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