日本の借金が1212兆円を突破。国民1人あたり借金983万円でも破綻しないのはなぜか
国債を買っている人のは誰なのか
もう一度考えてみましょう。「日本の国の借金が1212兆4680億円。総人口が1億2333万人なので、国民1人あたり約983万円の借金を抱えている」というのは計算は合っていますが、表現として正しいのでしょうか?
国の借金は国債の発行残高を指すことが多いのですが、発行できたということは誰かが買ってくれたということです。つまり、国債を買っている人が誰だかわかれば、湧いてきた疑問を解消することができるかもしれません。
それでは、ここでクイズです。
【問題】2020年9月末時点における国債等(※)の発行残高のうち、日本銀行が保有している比率は何%ぐらいでしょうか?
1. 約10%
2. 約25%
3. 約45%
※「国庫短期証券」「国債・財投債」の合計。また、国債等は、一般政府(中央政府)のほか、公的金融機関(財政融資資金)の発行分を含む
誰が日本の国債を持っているのか?
ちなみに、日本銀行は日本の中央銀行を指しますが、それ以外に国債を保有しているのは、民間銀行、保険会社、年金基金、家計、海外投資家などです。では、クイズの答えはどうでしょうか?
図Aは日本銀行が発表している「資金循環統計」のデータから作成した国債の保有者内訳を比率で表現したものです。これを見るとクイズの答えは「3の約45%」ということになります。
日本政府は日本銀行の株式の55%を保有しており、事実上、政府は日本銀行の親会社ということになります。連結決算の考え方からすれば、日本銀行の保有する国債(資産)は親会社(政府)の資産として考えられますし、そもそも日本銀行が政府の意思に反して保有する国債を投げ売ったりするのでしょうか?
このような話をすると海外投資家が一斉に売って手放すという人もいますが、全体の10%ちょっとの保有比率ですし、現状だと彼らが売ればすぐにその他の市場参加者が買うでしょう。