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プロゲーマー正社員の羨ましすぎる働き方。スマホゲーム会社がプロゲーマーを雇うワケ

学び

収入だけじゃない、社会人プロゲーマーの悩み

 ガリレオ選手は、普段は他の社員と同様に出社し、通常業務として取材対応やイベント登壇といった広報活動のほか、来年リリース予定の自社タイトルのテストプレイを行っている。

 同社ではスマートフォン向け対戦格闘風ゲームの開発を進めており、プロゲーマーからのフィードバックがゲームのデバックやバランス調整に活かされている。早ければ15時には通常業務を終了し、以後は大会に向けたゲームの練習に専念する。

プロゲーマー正社員の羨ましすぎる働き方

ガリレオ選手が抱いているのは、フレンチブルドッグの「ポノ君」。広報スタッフという立場で日中オフィスに滞在している。この他、ポノスでは19時以降社員が無料で利用できるBARが解放されるなど、働きやすい環境づくりに取り組んでいる

「ポノスに入社してから、1日6時間の練習時間を無理なく確保できるようになりました。これ以上練習時間を長くとっても集中力の問題もあるので、今の自分にとって6時間が理想的な練習環境です」

 社会人ゲーマーの海外遠征事情はかなり厳しいものがあると、ガリレオ選手は指摘する。

「海外大会へ参加するとなると、渡航と滞在でだいたい1週間のスケジュールを確保する必要があります。日本の一般企業に勤める正社員が、ゲーム大会への参加を理由に1週間の有給休暇を年に何度も取得できるかというと、多くの方が現実的ではないと感じると思います。

 それならば、時間の都合がつきやすい非正規雇用という選択肢もあるかもしれませんが、20万円はかかる遠征費用を非正規の給料から捻出するのはかなり大変です。しかも大会参加中は無収入となるので、やはり厳しい」

 こうした問題を、ガリレオ選手はポノスのプロゲーマー正社員になることで解決している。

 2017年10月にカナダで開催されたゲーム大会「Canada Cup 2017」でガリレオ選手は優勝を果たしているが、同大会への参加は業務の一環として出張扱いとなり、渡航滞在費用は会社が負担している。

 当然、かかるプレッシャーも相応のものとなるのだが、自腹で遠征費用を負担するプロゲーマーもいるなかで、ガリレオ選手の環境は恵まれていると言える。

 このほか、専業プロゲーマーと比べて、セカンドキャリアの見通しが立ちやすいのも正社員プロゲーマーの強みとなるだろう。

プロゲーマーを雇用する会社の意図

 一般的にスマホゲームといえば、ライトゲーマーがスキマ時間を使って楽しむカジュアルゲームの印象が強い。ポノスの代表タイトル『にゃんこ大戦争』もカジュアルゲームに分類される。

 一方、プロゲーマーの主戦場はPCゲームやアーケードゲームが中心である。彼らを雇うポノスの狙いはどこにあるのだろうか。同社でe-sports事業を統括する板垣護氏はこう語る。

プロゲーマー正社員の羨ましすぎる働き方

インタビューに応じる板垣氏。高校卒業後16年間ゲーム業界でキャリアを積む。家庭用ゲーム大手等を経てポノスにジョイン。現在はe-sports事業に尽力している

「ひとつは、来年弊社からリリースされるゲームの完成度を高めるというのがあります。昨今はスマホ向けゲーム市場からも、e-sportsに対応したタイトルがリリースされています。

 弊社のタイトルも対戦格闘ゲームのようなゲーム性を持ち、競技性の高いものを目指しています。そのためにはガリレオのようなプロゲーマーのアドバイスは貴重なものとなります。また、リリース後にゲームが盛り上がるにはスター選手の存在は不可欠と考えます。

 もうひとつは、e-sportsを盛り上げることで、日本にある『ゲーム=子供向け』のイメージを払拭したいということでしょうか。スマホが普及した現代は、ゲーム専用ハードを持たない人でもゲームを楽しめる時代です。だからこそ、ゲーム人口を増やせる土壌があり、e-sports化しやすい市場が出来やすいと思います。

 そこにはビジネスとして大きなチャンスがあります。しかしそこで『いい歳してゲームなんて』といった風潮があると、ゲーム業界そのものがしぼむ要因となってしまいます。e-Sportsが他のスポーツ競技と同列になれば、ゲーム業界そのものが盛り上がりますし、当然これは当社にとってもプラスになります」

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