体操日本代表、23歳・内山由綺がコロナ禍で知った「新しいスポーツ支援の文化」
練習から逃げようとした反抗期も
――なるほど。とても奥の深いアドバイスでしたね。それでお母さんと体操の練習をすることで、どのようなメリットがありましたか。
内山:やはり母には、これまでの豊富な人脈と経験があるので、クラブや所属などに限定されることなく、さまざまな体操の技術をたくさん学ぶことができました。
というのも、普段はお互い協力しあう関係にあるクラブチームですが、団体戦のような試合になれば一転してライバル関係となります。すべてのクラブと先生方には独自の技術やノウハウがあるので、そうしたものをライバルになるかもしれない相手にオープンすることはまずありません。
私は個人でやっている選手なので、他のクラブのコーチの人であっても、ありがたいことにしがらみなく技術を教えてもらえたりすることもありました。
――体操のことで親子間の衝突というか、ギクシャクした時期はありました?
内山:私が反抗期のときなんかは、もうしんどくなって体操の練習から逃げようとしていました。それを知った母が体育館の壁のちょっとした隙間に隠れて、帰ろうとする私のことを待ち伏せしていたりとか(笑)。
それこそ殴り合いのケンカになったこともありますし。あの当時は結構やり合ってます。もちろん今はとても良好な親子関係ですけど。
SNSには他人を元気づける力が
――コロナ禍の今、ファンがアスリートフラッグ財団を通じて、選手やチームに応援という名の寄付を贈ることができる アスリート専門のスポーツギフティングサービス「Unlim(アンリム)」に、最近になって参加したそうですね。
内山:リオオリンピックで団体戦のチームメイトだった宮川紗江選手が、アンリムさんに参加しているのは知っていました。
それまで、Twitterを通じてファンの方から「内山さんのことを応援したいけど、どうやっていいかわかりません」というDMを寄せられることがあって。だから初めてそうした新しいカタチの応援サービスがあると聞いたときは、時代にマッチしているというか、すごくいいアイデアだなと思いました。
実は高校生くらいまで「SNSは怖い」という認識が私の中にあって。でも始めてみたら、人を元気にしたり、勇気づけたりするきっかけを与える力がSNSにはあると感じました。今は8年くらいお世話になっているスポンサーさんが1社だけ付いていただいていますが、コロナ禍の影響でそれ以外の収入はありません。
でもアンリムさんに参加してから、応援してくれるファンの方々がTwitterにたくさん「いいね」をしていただけて。とても元気づけられました。コロナ収束後に、この画期的なギフティングサービスを通じて、多くのスポーツ選手を直接支える文化が世の中に広まれば、とても喜ばしいことですし、私は体操競技でしっかり恩返しをしたいと思っています。
――現在、スポーツギフティングサービスを通して、今後、さらに実現していきたいこととはどんなことでしょうか?
内山:日々練習に励んでいる中で、ギフティングサービスでの資金では環境設備に活用させていただきます。いつも応援してくださるファンの方々に、これからも皆様に心奮わせる演技をできるように頑張ります!