システム障害のみずほ銀行、年収は高いが気がかりな体質も
有価証券報告書などから見る働く現場
では、現場の雰囲気や働きやすさはどうでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・各種判例などからその姿に迫っていければと思います。
まず、2020年3月期の有価証券報告書で、平均年収を見てみました。
【みずほFG連結】57,264名
【みずほ銀行単体】28,910名(平均年収735.8万円、平均38.2歳)
【みずほFG】1,677名(平均年収967.9万円、平均40.6歳)
令和元年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円なので、日本の平均よりはるかに高いわけです。
続いて、採用情報を確認していきます。福利厚生については採用情報サイトで公開されている電子ブック「DOOR to MIZUHO」内に説明があり、リモートワーク・フレックスタイム制や、以前メディアで話題になった週休3~4日制度など「本業の比率」を調整しやすい制度が実施されていることがわかります。
この週休制度が適用されると基本給もその分、減るようです。平均年収の水準を考慮すると、条件面では引き続き高い水準にあることがわかりますが、コストカットの側面があることを踏まえると、先述の「構造改革」のひとつであると言えそうです。
また、みずほFG傘下のみずほ証券では2020年1月に希望退職の募集があった旨の報道もありました。直近ではみずほFG・みずほ銀行での希望退職募集はないようですが、動向に注目する必要がありそうです。
反社会勢力との取引が発覚した過去も
つづいて、主だった行政指導・判例を見ていきます。もっとも大きなインパクトがあるものとして、2013年に発覚した「提携ローンにより、暴力団員ら反社会的勢力に対して融資を行っていた問題」による金融庁からの改善命令と、本件に関連した株主代表訴訟があります。
本件は、みずほFGの傘下であるオリエントコーポレーションにおいて、みずほFGの基準から見て「反社会的勢力」と判断できる取引が存在することが2010年にみずほFG内で発覚したことが発端です。しかし、みずほFGはこの問題に特段対応せず、2012年の金融庁検査・2013年の業務改善命令まで放置していました。
また、2012年の金融庁検査の際にも虚偽報告を行っていたことがのちに判明し、みずほFGが2013年10月に「株式会社みずほ銀行に対する金融庁による行政処分に関する訂正について」というリリースをだしたり、金融庁が同年12月に再度の業務改善命令を行ったりする事態になっています。
これらの事態をうけて、みずほFGの株主らが一般社団法人「株主の権利弁護団」に委任し、2013年12月に取締役らの責任を追及するよう提訴請求を行っています。しかし、みずほFG監査役らが2014年2月の回答書において、取締役らの責任を完全に否定したため、2014年3月に株主代表訴訟が提起されました。
2021年現在でも判決等は出ていない状況です。こちらも今後の動向に注目が集まります。