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コロナで来客率90%減も。塚田農場に聞く「新たな事業」と「社員の救済策」

ビジネス

 3月22日、首都圏1都3県でも緊急事態宣言が解除され、全国で時短要請が少しゆるくなっている。だが、飲食店の営業が「夜8時まで」から「夜9時まで」に伸びたところで、それほど売り上げが回復するとは思えない。

野本周作氏

株式会社エー・ピーホールディングスの取締役執行役員COO・野本周作氏

「飲食業界は現状、相当苦しいというのが正直なところです」。そう話すのは、居酒屋チェーン『塚田農場』『四十八漁場』などを運営する株式会社エー・ピーホールディングスの取締役執行役員COO・野本周作氏(43歳)だ。

ディナーをメインにした飲食店の厳しさ続く

 野本氏によると、市場全体を見た場合、飲食店の来店率は業態と時間帯を問わず、この1年間は前年比100%に一度も達していないのだという。

「ランチタイムはいいほうで、60~70%ほどに回復しています。しかし18~19時は30%前後、20時以降は10%ほどで、依然厳しい状況です」(野本氏、以下同じ)

 その一方で、新しい傾向も見られるようになっているという。

「16~17時の比較的早い時間帯に来店して飲食する人が増えています。時短営業の影響や、混み合う時間帯を外そうという心理が働くのかもしれません」

 しかし短時間の滞在では客単価も上がらず、居酒屋などディナータイムをメインに営業している飲食店にとっては、苦しさに変わりはないようだ。飲食店に重くのしかかるコストとして、FLR(food=材料費、labor=人件費、rent=家賃)がある。これについても野本氏は苦しい内情を話してくれた。

“Go To Eat”は救世主なのか

野本周作氏

「材料費は変動費と捉えられますが、仕入れ・仕込みをしてもお客様に来店していただけなければ無駄になってしまいます。人件費は雇用調整助成金などもあるものの、受給できるまでに申請から2~3か月はかかります。家賃については、業界全体で閉店も相次いでおり、ビルなどのオーナーさんも辛い状況が続いています。話し合いで解決策を見い出すにしても限界があるでしょう」

 2020年の“Go To Eat”で来店客数のコロナ前比率は10月ごろから一時的に回復傾向を見せたが、12月以降は下がり始め、緊急事態宣言が出て以降はさらに下がった。飲食業界にとって、救世主のようなものかと思っていたが、そうとも言い切れないようだ。

「Go To Eatのオンライン予約を利用してご来店いただけるのは大変ありがたいことです。しかしその場合、私たち飲食店側は、予約サイト側に掲載料や送客手数料を支払わなくてはなりません。これもありがたいが少なくない負担になっており、そう多くない利益額が目減りする要因になっているのです

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