森喜朗氏の辞任から考える深刻な「日本の男女格差」153か国中121位の指標も
日本の伝統社会がもたらす弊害
筆者は社会の変化に適応できない固定観念ばかりが優先される伝統社会こそ、大きな課題と考えている。
日本の大手企業や役所では伝統的なしきたりやマナーが未だに重視されているし、50~60代以上では、いまだに「仕事=男、仕事=出社してデスクワーク」の固定観念が強い。そして、それは、コロナ禍においても、十分にリモートワークが徹底されないことにも関係している。
2021年1月、海外メディアはこぞって「Digital Nomad Index(リモートワークのしやすさ)」の国別ランキング(世界85か国対象、ビジネスSNSを提供する英国企業Circleloopが調査)を報道した。
カナダがトップとなり、以下、英国、ルーマニア、スウェーデン、デンマーク、フランス、オランダ、オーストラリア、スイス、ドイツがトップ10となり、日本は85か国中33位となった。Digital Nomad Indexは、インターネット回線や通信速度、家賃の安さのようなリモートワークに重要ないくつかの項目をもとに試算されランキング化されている。
柔軟に対応できるかがポイントに
コロナ禍で、政府や地方自治体はテレワークを何回も強く要請してきたが、思うような成果は出ていない。その背景には、やはり「仕事=出社してデスクワーク」というような意識が社会に残っているからだろう。
83歳の森氏の後任として、日本サッカー協会元会長で84歳の川淵三郎氏が候補に一時あがったこと(その後、川淵氏は辞退)、身近な話題では会社員の男性が育休を思うように取得できないことも、古い伝統や固定観念の影響だろう。
今回の騒動で時代の変化に柔軟に対応できる社会の構築こそが、日本が国際社会で取り残されないためにも重要な要素であると再認識できたのではないだろうか。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>