東大卒・元ゴールドマン社員が語る、30代で独立したわけ「危機感があった」 | bizSPA!フレッシュ

bizSPA!フレッシュ

東大卒・元ゴールドマン社員が語る、30代で独立したわけ「危機感があった」

ビジネス

 六本木ヒルズから四谷の雑居ビルに。新卒入社したゴールドマン・サックス証券(以下、GS)から独立し、同僚3人で株式会社クリプタクトを設立した代表取締役 Co-CEOの斎藤岳さん(38歳)

起業家

株式会社クリプタクト代表取締役 Co-CEO斎藤岳さん

 約12年間にわたるGS時代は、チームとして2000億円近い資金を運用していた。現在はIT、金融のエキスパートを集め、暗号資産(仮想通貨)の投資支援プラットフォームの提供や、次世代金融商品の開発などを行っている。

 世間一般のビジネスマンからすると、とてつもない金額を動かしていたエリートが、なぜその地位を手放したのか不思議に感じてしまう。今回は新宿区四ツ谷にあるクリプタクトでインタビューを実施。起業の経緯から初心者に向けた投資アドバイスまで話を聞いた。

起業した理由は「IT化への危機感」

 クリプタクトは2018年、斎藤さんを含むGSの同僚3人で創業。起業した背景には「金融事業の急速なIT化で危機感があった」と語る。

「私は2007年にGSに入社しました。2010年頃からクリプタクト創業メンバーの一人でもある(アズムデ・)アミンと同じチームで働くようになります。ヘッジファンドで株の売買をするのですが、2015年くらいに起業したいという話をしたんです。

 私は機関投資家として10年近くキャリアを続けていて、それなりのノウハウはありました。しかし、やがて自分たちの知見や経験が、強力なITツールに取って代わられ、その結果、アマチュアとの垣根がなくなるのではないかと感じていました。初心者がイチから勉強しなくても、投資ができるようになる世界が訪れていたのです」

 2010年代は、投資判断を機械がする流れが加速している時代だった。いわゆる投資用ロボアドバイザーやAI投資の出現が、投資・運用のプロである斎藤さん自身の意識を変えた。

コンスタントに利益を出すことが基本

起業家

「もちろん、現時点で人工知能、機械の運用パフォーマンスは、人間に比べてよくありません。しかし、20年後も私たちが通用するのかわからないのです」と、斎藤さんは語る。

 とはいえ、GSといえば、ニューヨーク州マンハッタンに本社を置く世界最大級の投資会社。全世界に拠点を持ち、従業員数はグローバルで3万人を超える。2020年では女優石原さとみさんの結婚相手の勤務先としても話題になった。そもそもGSはどのような会社なのか

「投資銀行と呼ばれるので、投資家ばかりだと思われるかもしれませんが、実際はいわゆる証券会社であり、投資・運用を業務として行うものは東京オフィスでも、10数人くらいではないでしょうか。社員全員が金融・投資のプロというわけでもなく、事務職など様々な役職の人もいます。また、エンジニアも積極的に採用しており、近年はテック企業に近いです」

 斎藤さんによれば、運用していたファンド全体では8000億~9000億円を運用しており、日本はアジアにおける香港チームに属し、運用規模は約3000億円にのぼるそうだ。斎藤さん自身も「ざっくり2000億円を5人くらいで運用していた」と振り返る。

「チームの投資の基本は、一発ホームランではなく、コンスタントに利益を出すことです。投資家ベースで毎年10~15%くらいを出すことが求められていました。他のほとんどのファンドはベンチマークの指数があって、そこに対して3~5%の利益。あるいは日経平均に対して3%といった相対的な指数が多いですが、私たちのようなヘッジファンドではどんなに景気が良かったり、悪かったりしても、“絶対収益”を求められていました」

おすすめ記事