選挙に行かない日本の若者へ。香港の反政府デモを追った31歳・映画監督が語る
私たちが当たり前のように享受してきた「選挙権」。これは日本の「民主主義」体制によるものです。
みなさんは、4年前に「民主」を勝ち得るために香港の若者たちが起こした“大規模デモ”を知っていますか?
7月14日より、このデモを描いたドキュメンタリー映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』がポレポレ東中野などで上映されます。今回は香港の若手映画監督であり、本作がデビュー作となるチャン・ジーウン(陳梓桓)監督に話を聞きました。
2014年に香港で起きた「雨傘運動」とは?
まず、この「雨傘運動」とはなんなのでしょうか?
もともとイギリスの植民地だった香港は、1997年に中国に返還され、「一国二制度」と呼ばれる構想のもと、「特別行政区」として50年間の期限付きで高度な自治権が認められていました。
しかし実際は、中央政府の愛国教育による“中国化”が進められ、香港の自治権は大きく揺らいでいたのです。
そんななか、2014年にある問題が起きます。2017年に行われる香港特別行政区行政長官(香港を統率する首長)の選挙で、1人1票の普通選挙という市民に与えられた権利が、中央政府の新たなルールで脅かされる事態に。
これに高校生や大学生たちを中心とする数万人の市民が「真の普通選挙」を求めて大反発。79日間にわたって、香港の主な行政・商業・繁華街エリアを占拠。
道路にはテントが立ち並び、水や食料が運ばれ、夜はマットを敷いて寝る路上生活。学生たちは警官隊が使う催涙弾から身を守るため、雨傘を差して抵抗したことから「雨傘運動」と呼ばれています。
当時27歳だったチャン・ジーウン監督は、カメラを片手に「雨傘運動」に参加。そこでデモに駆けつけた若者たちと出会い、共に笑い、ときに討論を繰り返しながら、青春を謳歌している様子が映し出されています。