元サッカー日本代表・鈴木啓太「指導者以外」の道でサッカー界に貢献したい理由
サッカー以外の時間で何に取り組むか
「リーグ側の使命は、もっとJリーグを発展させることで、選手の教育ではありません。極論ですが、Jリーグが発展して現役時代の稼ぎだけで一生食っていけるようになれば、セカンドキャリアを考える必要はないわけですから」
引退が迫っている選手がセカンドキャリアを考え始めるのは納得だが、まだ中高生や若手の選手で競技に100%のエネルギーを注いでいる場合、なかなかセカンドキャリアにまで考えは及ばないかもしれない。しかし、鈴木さんは「100%競技に集中して何の問題もない」と考える。
「本気でスポーツに取り組む以上、100%の力を注ぐべきです。ただ、サッカーの場合は24時間365日練習していれば上手くいくわけではなく、決まった時間の中でどれだけ質の高い練習をできるかが重要。そうなると、疲労した筋肉を回復するための時間にいろいろなことができます」
その時間にサッカーの勉強をしてもいいですし、他の勉強をしたっていい。こうした時間の学びが、自分が引退した後のセカンドキャリアを決める際に生きてきます」
プレーするだけがサッカーではない
私たちは、ついサッカーというと、「身体を動かしてプレーすること」だけを思い浮かべてしまう。ただ、「プレーするだけがサッカーではない」という。
「例えば、サッカーを見続けて分析したり、プレー動画を編集して見やすくすることも『サッカー』の一部。分析ができればアナリストになれるかもしれませんし、編集ができれば編集者の道もあります。
だから、『プレー100%』で競技に向き合うのではなく、『競技100%』で競技に向き合い、プレーしない時間もすべてを学びの時間ととらえて活動するのが、伸び盛りの若者たちにできる最良のセカンドキャリア対策なのではないでしょうか」
<取材・文/齊藤颯人 撮影/スギゾー。>