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「安く機種変できます」の裏側。学生がカモられる「モバイルプランナー商法」体験記

コラム

「紹介プレゼント」は自己負担…

 プランには、「アップルケア」や「カケホ」といったオプションは一切付けません。ここを全て削ることで、お客様に安くスマホを提供しているように見せるのです。結局15人中、契約してくれたのは3人。また、その15人には紹介プレゼントなる広告のお願いをしなければなりません。そう、冒頭で書いたようなSNSの投稿です。

 その投稿を見て1人契約したらスタバのギフトカード、2人ならディズニーチケット、3人ならAirPodsと、人数に応じてプレゼントを贈呈するのが決まりでした。もちろんその代金も自己負担でしたが……。

 結局最初のひと月は、週4で8時間勤務したにも関わらず、給料は差し引き3万円にも届きませんでした。モバイルプランナーは各店舗に社員が5人、大学生のアルバイトが20〜30人となっていました。人件費をカットするためにも、アルバイトの人数の方が圧倒的に多いのが特徴です。

 学生の層としては、いわゆる“Fラン”大学に通う、低学歴だけど、就活では周りを見返したい思いの強い人が多かったように感じます。また、契約を取れたらみんなでお祝いして、取れないときはみんなで鼓舞しあうというノリが強かったように思います。

 そのため、わざわざ高い学費を払ってまで大学に通っているのにも関わらず、授業そっちのけで働いている人もザラにいました。今思えば、とにかく雰囲気だけで、会社が学生から労働力を搾取しているような環境でした。

就活生の不安につけ込んだビジネスモデル

iPhone12 スマホ

 結局、給与体系に元々不満があったことに加えて、友達に宣伝の投稿をお願いする「友情商法」なる営業スタイルが精神的にキツかったこともあり、わずか半年で辞めてしまいました。

 会社の初日研修での説明で話していた「土地代・広告費を削るから、お客様に安くスマホを提供できる」という主張も、実際はプランのオプションを全て削り、プランナー自身が身銭を切っているだけなのです

 新卒一括採用が当たり前の日本において、大学生の一番の不安は就職活動でしょう。それを少しでも有利にしようという大学生にツケ込み、労働力を搾取する。それがこの「モバイルプランナー商法」の実情ということです。

 そもそもモバイルプランナーは、スマホを他社よりも安く変えられるということを売りにしていますが、総務省が規定する法律においては、2万円までしか料金を値下げできないのですから、どこで買っても同じではないでしょうか。

<取材・文/小岩恵一>

月刊誌編集部勤務。主に10〜20代に巻き起こっているムーブメントを探求する記者として活動

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