7000万円のマンションを買いたい20代夫婦、可能かリアルに計算してみた
果たして25年後の世帯収入はいくらに…?
美紀さんの収入は保守的に見積もってもずっと変わらない計算(産休・育休中は収入が3分の2)としても、今から25年後には2人の世帯年収は1850万円に達します。
田中夫妻は、7000万円のマンション購入を希望していたので、今回はこの予算で試算してみました。ローン金利は35年固定の1.4%でフルローンを組むと、毎月21万円の返済になります(SUUMOやHOME’Sなど不動産情報サイトのシミュレーションを使うと簡単に試算が可能)。管理費修繕費は若干厳しめにみて年間70万円、固定資産税も25万円固定です。なお、2人は車を購入する予定はありません。
試算の結果は、7000万円でも、じゅうぶん子育てと貯蓄が可能な水準でした。しかし、7000万円のマンションを買い、3年後に予定している第2子が生まれた直後までの間、つまり購入直後から数年間が一番厳しいところです。この期間は4年ほど、貯金ができない時期が続きますが、この時期を過ぎたあたりから田中さんの年収アップもあり、一気に家計がラクになります。
子ども2人を中学から私立に行かせても、下の子が大学を卒業するときに2人はまだ53歳。ここからお金が猛烈な勢いで貯まっていき、退職金まで考慮に入れると、退職時には8000万円まで貯蓄は積みあがります。ですから、住宅7000万円は夫婦の収入の伸びを考慮に入れれば、じゅうぶん予算内と言えます。
※予算5000万円、6000万円のシミュレーションも用意していましたが、この記事では7000万円のシミュレーションを取り上げました。
さて、資金繰りはどうする?
繰り返しますが、最初の部分の資金繰り。ここがポイントとなります。
田中さんは諸費用分の貯金(500万円)は用意しているとのことでしたので、手元キャッシュを減らさないために、仲介店から紹介される提携住宅ローンとは別に、初期費用が少ない住宅ローンを探すことをおすすめします。また、ご両親に資金の余裕がありそうなら贈与を受けられたり、借り入れを申し入れたりすると良いでしょう。なお、住宅購入時の贈与税は優遇されています。
なお「この計算は美紀さんが仕事を辞めると、とたんにうまくいかなくなるのでご注意ください」とファイナンシャルプランナーから注意がありました。日本の制度は共働き世帯にかなり有利に作られています。翔太さん1人で1150万円を稼ぐより、夫婦2人で稼いだほうが税金や社会保険料の関係上、有利となります。
最後に、住宅ローンの組み方についてですが、1人で組むより、2人で組むほうがメリットあると説明がありました。「もし中古で買うのなら、毎年の住宅ローン減税を最大に受けられる金額を源泉徴収票から計算して組むのが良いでしょう。個人が売主の中古物件なら、一人当たりローン減税は年20万円、10年累計200万円ですが、2人でローン減税を揃って受けると10年間合計400万円の減税が受けられます」とのこと。
アドバイス後、翔太さんから感想を聞いてみると「非常に参考になりました。予算が高すぎるのではと漠然とした不安もありましたが、払しょくされました」とのことで、この感想を聞いただけでも、今回の企画をやってよかったなと思いました。