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伊藤沙莉が親友・松岡茉優と共有するキャリア観「嫌になったらやめよう」

暮らし

「別にこれだけじゃないしな」

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――仕事人間って感じですか?

伊藤:というよりも、食事や寝る時間すらなくてもいいんです。1人で家にずっといるよりは、現場に出て誰かと話していたほうがいい。その寂しいという感情もありますが、お芝居がとにかくしたかった。1人では何もできなかった。だから再開したら「お仕事が大変」とか言うのはやめようと思ったほど(笑)。お芝居することが好きなんです。

――30代に向けて何か考えたりしますか?

伊藤:周囲の大人たちには「10年計画で行きなさい」と言われていて。今したいことを焦るのではなく、10年後どうなっていたいかを考えて、それを踏まえてお仕事していけば、自分のペースがでいけると。

 そういう意味では20歳以降、自分のペースでできているので、このペースを乱すことはないかなと思います。いまの状況から劇的に変わりたいと思わないので、このままいければいいなと思います。

親友・松岡茉優と共有する意識

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――同世代に向けては、どのようなメッセージを?

伊藤:わたしは四面楚歌の状態を作らないようにしているので、この仕事しかないと思うことはないんですよね。いつでもやめられると思っていると、けっこう強気になれるんです。ビッケみたいな、キラキラした感情の「自分はこうなる!」という強い意志はすごい結果を出すとは思います。だけど、弱くていいわけでもない。嫌になったらやめようと思っていたほうが、平常心で続けられるし、「別にこれだけじゃないしな」と思っていたほうがいい。

――逃げ道はあったほうが絶対いいですよね。

伊藤:子役時代からのクセで、お芝居でしかほめられたことがないと、それをやめたときにみんなの態度がどう変わるんだろうと、ずっとビクビクして生きていくことになる。わたしと親友の松岡茉優さんはそれを共通の話題にしていました。自分の存在意義がお芝居しかないと思ってしまうんです。

 特にわたしは勉強ができなかったので、ダンスしかなかった。お芝居ですごいとほめられると、止めたくないというよりは止めちゃいけないと考えるようになる。でも、誰のためにやっているのかわからなくなってきたとき、楽しいと思っているうちはやろうと思いました。次第にお芝居をすることが楽しくなってきたので、やめる理由がなくなったけれど、これからも自分の中で違うなと感じたらやめるだろうなと思います。

――最初はSNSでいう“いいね”がほしかったのですね。

伊藤:そうですね(笑)。お芝居だけではなくて、仕事、勉強、習いごとなど、あらゆることで誰かの期待に応えようとしすぎて、自分が本当にやりたいことを見失っている瞬間があると思うんです。それだけは気をつけたほうがいいなと思います。

<取材・文・写真/トキタタカシ>

映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに

【公開情報】
小さなバイキング ビッケ』は全国ロードショー。
配給:イオンエンターテイメント、AMG エンタテインメント
©2019 Studio 100 Animation – Studio 100 Media GmbH – Belvision

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