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「マネーの虎」から16年。名物女性社長が明かす当時の秘話

学び

言いにくい話は先に伝えておくべき

「ただ、必ずしも本人が悪いとはいえません。逆に、話の順序が間違ってさえいなければマネー成立していたとも思います。例えば、遠慮がちに早い段階で『自宅の改装費はマズイですかね?』と言ってくれれば、クリアになっていたはずですから。ある程度、こちらが心を決めている段階で言ってしまったから、一気に信用を失ってしまうといういいますか。

 これはもう、ほんの少しコミュニケーションの仕方に気を配れればいいわけで、辛い話、言いにくい話は先に伝えておくべきなんですよ。それだけで雲泥の差になりますね」

「番組の放送当時はまだ昭和を引きずっていた時代だったなと思う」と尾崎さんは話す。令和になった現在、時代の変化をどのように捉えているのか。

「周りも自分も熱血な人たちが多かったですし、社会も夢に溢れていて、意地でも『上を目指してやる』という空気が流れていた気がします。でも今は、何でも手に入る時代になったのもあるのか、やはり草食系のような若い人たちが増えた印象があります。とはいえ、起業するにしても結局はやる人もいて、やらない人もいるというのは変わらない気がします

若い世代は「もっと自信を持つべき」

尾崎友俐さん

尾崎友俐さん

「やはり、社会的に働く人自体に対して『そんなに責任を追わなくていい』という風潮も広がりつつあるので、接してみると驚くことも多いです。パワハラなどの言葉があるので、叱咤激励をしにくい場面もありますし、優しく言ったつもりでも耐え切れず、ある従業員からは『お母さんとお父さんにもうやめなさいと言われました』と報告されたこともありました」

 最後に今を生きる若い世代に何を求めるか聞いてみた。

「今の若い世代は、自分が宝物をたくさん持っていることに気が付いていないんですよ。例えば、昭和生まれの私たちはWordやExcel、Powerpointですら、使いこなすため必死に勉強したんです。でも、今の若い世代は幼い頃からパソコンやスマートフォンを手にすることができて、何でも情報が得られるようになっています。

 周りも当たり前に使っているから気が付かないかもしれないですが、見方を変えればすごい武器だから、もっと自信を持つべきだと思います。私も『何をやっていいのか分からない』と相談される機会もありますね。例えば、ジャングルジムで遊んではいけないといったルールに縛られているのもかわいそうだし、時にはわがままになってもいいので常識を疑ってみてほしいと思います

<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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