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日本は完敗、中国の「最先端キャッシュレス」事情。米国が恐れる理由

ビジネス

「デジタル人民元」が米ドル基軸通貨体制を脅かす

 最近は、中国政府が発行予定といわれるデジタル人民元が話題になっています。すでにキャッシュレス化が世界で一番進んでいる中国において、デジタル人民元を発行する意図、それは一体なんなのでしょうか?

「実は、中国政府から公表されている内容は、そんなに多くありません。そのため、世間ではこれは米ドルの基軸通貨の位置を脅かすためのツール、すなわち人民元の国際化に向けた施策ではないか? などとも噂されています。

 現金がデジタル人民元に変わると、偽札が流通しなくなります。中国では偽札が多く流通しており、偽札がなくなれば偽札による被害者が少なくなりますので、治安面と通貨の信用面から導入メリットがあります
 また、香港などへの人民元持ち出しが難しくなります。近年、香港をはじめ世界のさまざまな場所で人民元の両替を行うことが可能になっていますので、人民元国外持ち出し→両替→資産隠蔽と言うステップが物理的に可能となっていましたが、これを抑止する効果があります」

 中国政府が狙っているのは、偽札流入の防止と、資産隠蔽の防止、そしてデジタル人民元を国内で使用することでノウハウを蓄積し、デジタル通貨が世界的な流れになった場合の先行者利益を総取りすること。そうなれば、中国にとって悲願といえる「人民元国際化」に寄与する可能性はあります。

中国はアメリカの通貨覇権を崩せるか?

中国 経済

 なぜ、中国は人民元国際化を狙っているのでしょうか。最大の理由は、米国の強さの根源である通貨覇権を一部奪回し、自国の経済成長をさらに一段と加速させるためと言われています。戸田氏は次のように解説します。

「米ドルは、米国が保有する、おそらく世界最大の既得権益です。世界中の投資家や企業が保有する通貨、それが米ドルです。そして、その余剰資産が米国の債券市場や株式市場に投下されると、米国企業の手元資産には大きな余裕ができます。そしてその潤沢な元手を活かして、世界中から優秀な人材を採用し、次々と新たなサービスや商品を作り出していく。それが米国の強さの源泉です」

 中国は世界2位の経済大国であるにもかかわらず、決済通貨または保有資産としての中国元の人気度はドル、ユーロ、ポンド、日本円に次いで世界5位。やや物足りない数字ともいえます。理由は人民元には資本移動の制限がかけられているからです。

 資本移動の制限とは、つまり人民元を自由に売買することの制限、自由に移動させることの制限です。中国に投資することは簡単にできるのですが、中国の国外に資金を持ちだそうとすると政府の介入がある、そういうルールの元で運営されているのです。

「中国人は、実は我々が考えているよりも至極現実的であり、中国にお金を置いておくよりも、シンガポールや香港、日本や米国にお金を置いておきたいと本気で考えています。こう言った中国人自身の資金逃避を食い止めるためにも、現在は資本移動の制限が設けられているのです。なんとかリスクを抑えつつ、人民元の国際化を進める手立てはないのか? そういうことを考えて手を打ってきた、それが中国の20年間だったのではないかと思います」

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