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安倍政権が残した“負の遺産”を検証。森友・加計、桜、公文書改ざん<ダースレイダー>

ビジネス

安倍政権のレガシーは「歴史が判断する」

 安倍政権の7年8か月は、かなり長い期間なので、現在20歳前後の人にしてみれば、物心ついたときにはすでに安倍政権であり、総理大臣が変わるということを体験していないことになります。新たな政権を選ぶのは勇気がいる行動だし、積極的に違った空気を身にまとうというモチベーションは持ちにくい。これが長期政権が生み出す構造です。

 もちろん安定しているから、問題がなかったから長期政権なんだろうという考え方もあります。ポイントとなるのは安倍さんが「(安倍政治が残した)レガシーは?」という質問に対して「歴史が判断する」という答え方をしたこと。

 つまり、10年、50年、あるいは100年後に振り返ったときに、この7年8か月がどのようなものだったのかという検証がされると。これは正しいことを言っていると思います。なぜなら、そのときに正しい・誤っていると思われる判断が、時間が経過したあとに「そうではない」という検証がされることがあるからです。時間が経たないと分からないことがある。

 人類の歴史は繰り返し、「あそこであれをやってれば」「あれをやらなければ」と、因果関係が意図したものとはまた別の形で表れてくると言っても過言ではありません。なので、歴史が検証するという態度自体は正しいと思うんです。

 では、歴史が過去の7年8か月をどう検証するのか。これは「こんなことをやりました」と結果だけを並べられても実は検証はできません。決定に至るまでに何が選択肢から排除されたのか。そもそも選択肢になっていなかったのか。そこまで考えることで歴史的な検証が可能になる。これは物事を考えるときの基本的なスタンスだと思います。

安倍政権が残した問題を振り返る

安倍晋三と菅義偉

 安倍政権の7年8か月は、歴史の検証に耐えうる形で残すことができたのかということが「歴史が判断する」という言葉に込められていると思います。「私はこんなことをやりましたが、どのように残されているのかは歴史が判断してください」ここが僕は安倍政権の一番の問題点だと思います。

 7年8か月はかなり長い期間ですが、安保法制が「束ね法案」(複数の法律を改正するときに束ねて一本の法律案として提出すること)で強行採決され、施行された2015〜2016年あたりまでが第二次安倍政権の前半期と考えて、2017年に森友問題が発覚してからが後半期だと、ざっくり分けることができると思います。

 さて、問題は後期の森友事件のときに何が起こったか。“たかが8億円”の土地の値引きが説明できない。僕が一生かかっても手にすることができないお金をたかがと表現するのはおかしいですが(笑)。国有地というのは保守的な言い方をすると、われわれ国民の土地です。その売却相手が森友学園という学校法人で、そこには新しい小学校を作り、名誉校長には安倍昭恵さんが就く予定だった。たかが大阪の土地取引の問題をいつまで言っているんだという話になるんですが、たかがこの程度のことが説明できなかった。

 これが何に繋がっているのか。後期の安倍政権の問題はこの問題からスタートしています。この問題を解決しないという態度が、現在のさまざまな混乱につながっていると思います。

 ちなみにこの森友事件に関しては公文書の改ざんが行われました。8億円の説明ができなかったわけですが、理由を突き詰めていくときに、記録を出せという話になった。最初、記録はないと言っていたが、実はあった。しかし、当時作成されたものではなく、書き換えられたものを出してきた。

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