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「仕事中毒」になる人の意外なメカニズム。原因は脳のしくみに

学び

脳トレで「ハマり」から卒業

 カウンセリングが「第二信号系」に働きかける「対話」により、過去と未来を適正に評価する、そして進む方向の再決断に至るものであるのに対し、セラピーはカウンセリングと治療の中間に位置し、「イメージ」により「感覚」に働きかけ、「今、ここ」を「体験する」ことをします。

 過去の出来事を扱うにしても、今、起きている出来事として体験し、当時の未完了の感情を、今、完了させることをします。「治療」とは「思考」や「決意」などの「第二信号系」のはたらきではどうにもならない「疾患」を治すものです。「条件反射制御法」は「第一信号系」に働きかける「治療作業」、つまり「脳トレ」です。

「条件反射制御法」は平井愼二医師が開発した治療法ですが、一言でいえば、望まない「癖」や「習慣」をやめるための技法です。研修を受ければ医師でなくても他者にも自分にも施すことができます。

 もともとは薬物などの物質摂取障害に開発された技法でしたが、今では病的窃盗、病的賭博、性嗜好障害、PTSDなどの疾患にも高い効果を出しています。私自身やってみたら、10代の頃から抱え続けていた「あがり症」と「対人恐怖」を治すことができました。

防御・摂食・生殖で脳に「ご褒美」

小早川明子

小早川明子『やめたいのにやめられない悪い習慣をやめる技術』(フォレスト出版)

 そのキーワードは「ご褒美」です。動物が環境との関係において3つの行動「防御」「摂食」「生殖」のいずれかにおいて成功したら脳がご褒美をもらえるシステムです。ご褒美がもらえたら、その行動に至る行動が定着します。

 これを薬理学の世界では「報酬効果」と言いますが「生理的報酬」は、3つの活動に失敗したときは生じません。生じなければ、そこまでの「反射」は抑制されます。このことも「ハマリ」を解除するために重要な意味を持ちます。

 人間の場合、「生理的報酬」が生じるのは3つの行動に成功したときだけではありません。摂取した覚醒剤やアルコールなどの薬の作用によっても生じます。さらに「第二信号系」で起きる達成感によっても「生理的報酬」は生じます。成績がクラスで一番になったり、選挙で勝ったりすると、もう一度、頑張りたくなるのです。頑張る行動が「第一信号系」に定着したのです。

 習熟した動作が起こすヒューマンエラーは、気をつけようという考えが不足していただけではなく、習熟した行動があまりに円滑に出過ぎ、「第二信号系」の「思考」による確認などを越え、うっかりミスとして現れるのです。うっかりミスをなくすには、「まちがわないぞ」という決意を強くするだけでなく、「適応行動」をほどよい状態に留める脳トレ、「条件反射制御法」をすることが効果的です。

悪い習慣をやめる技術

悪い習慣をやめる技術

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