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パッとしない5G規格の現在地。5Gスマホはなぜ普及しないのか

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しばらくは「準5G」の時代かも?

5G

 電波の管理者である総務省は、5G普及のため、在来4Gで使われてきた周波数帯・設備の5G転用を容認する考えを示した。これにより、2023年度末の時点で、当初計画の3倍の数の基地局を整備できるとしている

 現行のインフラが流用でき、また5Gに割り当てられた周波数帯に特有の問題を回避できるため、携帯各社にとってはコスト面で有利となる。しかし、良いことばかりではなく、4Gの周波数帯をそのまま5G通信に転用しても、期待されていたほどの速度性能を発揮できない。これに関しては、5G投資で先んじる大手docomoも懸念を示したことが報じられている。

 在来転用型の5Gでも、低遅延や安定性などのメリットは享受できるが、肝心のスピード面では“フルスペック”の5G通信(4Gの20倍)とはならない。いわば「準5G」と呼べる規格であって、固定回線の代替を果たすとなるとやはり荷が重いだろう

5Gを契約すべきタイミングは

 そうだとすると、仮に5G対応のiPhoneが発売され、自宅やオフィスが対応エリアに入ったからといって、5Gネットワークのためにキャリアに追加料金を支払うべきか悩ましい。

 スポーツイベントや満員電車など、狭いエリアに多数のユーザーが密集する場面では、通信を賢くさばく「準5G」でも恩恵に預かれる。しかし、コロナ禍の昨今では、ソーシャルディスタンスや“人混みを避ける”ことが求められており、そこには矛盾がある

 以前の記事でも述べたように、5Gのテクノロジーには社会を変える可能性が秘められているが、しばらくはそのことを忘れて過ごしていても問題なさそうだ。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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