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「自由な発想でやりたい」という人ほどアイディアが枯渇する理由

学び

アタマの中にフレームが無いと…

 これまた別の友人の相談に乗らせてもらったときの話です。彼は大手企業に勤めていますが、「自分の情熱を注げる分野で起業したい」と考えていて、そのアイディアをまとめているところでした。そのドキュメントからは、彼の想いは良く伝わるのですが、いかんせん具体性がなく、正直事業が伸びるイメージが湧きませんでした。

 そのため、まずは「そもそも誰をターゲットとしたサービスなのかな?」というところから議論を始めたのですが、彼はフレームワークで考えたくないようで、残念ながらあまり話が前に進むことはありませんでした。

 おそらくですが、過去にフレームワークを使う仕事や就職活動の面接などで嫌な思いをしていて「こんな教科書通りのことをやっても、現実の事業を立ち上げることはできない!」と思っていたのでしょう。ちなみに、コンサルティングファームについても「現実を分からないのに高尚なことを言っているだけ」と、反感を持っているようでした。

自由にやりたい人ほどアイディアが枯渇する

腕を組んで悩むビジネスマン

 コンサルタントおよびコンサルティングファーム出身者の「ナチュラルな上から目線」や「選民意識」が鼻につくのは、ぼくもよくわかるのですが、とはいえフレームワークやコンサルタントの思考スタイルを真っ向から無視して「とにかく自由な発想でやりたい」というのは、残念ながらあまり筋が良いとは言えません。

 現に、フレームワークを理解していた起業家の彼と、起業家志望の彼を比較したときに、アイディアの幅や深みは明らかに前者のほうが素晴らしかったと感じました。

 4Pや3Cと聞くと、「そんなこともうわかってる」「あえてやる必要はない」と思ってしまいがちなのかもしれないですが、これらのフレームワークは長年使われているだけあって、非常に強力なアイディア発想ツールなのです。バカにすることなく、実際に使ってみて、自身のビジネスの幅を広げるテコにしてほしいな、と思っています。

連載・現役コンサルタントのシンプル仕事術

<TEXT/戦略コンサルタント Shin>

某外資系コンサルティングファームで戦略コンサルタントとして勤務したのち、現在は某外資系企業で業務改善や戦略策定等の業務に従事。ビジネス書作家。ブログ「Outward Matrix」、オンラインコミュニティ「Players」を運営。無料メールマガジンも好評配信中

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