黒川元検事長の「賭け麻雀」問題。一般人でも罪になるのか?
雀荘が罪に問われるとしたら
一部の雀荘では、賭け麻雀が“公然の秘密”として行われています。これを罪に問う場合、雀荘側と利用者側、それぞれどのような罪状となるのでしょうか。
「まず、賭け麻雀を行った人間(実際に麻雀を行った人間)は、前述の単純賭博罪または常習賭博罪が科されます。雀荘側は、賭け麻雀が行われていることを知っていた場合(または暗黙の了解であった場合)、『賭博場を開張した』として、刑法186条2項の賭博開帳図利罪が科されます。
お金を掛けずに雀荘を利用していた場合は、仮にその雀荘で賭け麻雀を行っている者がいることを知っていたとしても、積極的に犯罪に関わったわけではないので、罪が成立する可能性は低いでしょう」
では、賭け麻雀が行われている雀荘が一斉摘発されないのは何故なのでしょう。
「違法性が大きくないと捜査機関が判断しているからではないでしょうか。前述のとおり、賭博が行われていたとしても、すべてを取り締まる訳ではありません」
現行犯でないと逮捕されないのか
「捜査機関が知りうるすべての犯罪を刑事事件として立件していたら、捜査機関の人や時間が足りなくなってしまいます。もっとも、あまりに高レートで賭け麻雀が行われている場合は、摘発するケース(ガサ入れ)も起こっています」
黒川氏は、マスコミの報道を事実と認めた上で、自ら検事長を辞任しました。しかし逮捕はされていません。賭博の罪を問う場合、現行犯でないと逮捕されないということでしょうか。あるいは黒川氏への処遇は、東京高検の検事長という立場・身分を考慮したもので、一般人が同様の罪を犯した場合と事情が異なるのでしょうか。
「法律的には必ずしも現行犯でなければ逮捕できない、という訳ではありません。もっとも、賭け麻雀が行われていることを捜査機関が裁判等で立証するには、現場を押さえない限り難しいため、現行犯の場合が多いということです」