新人が自己紹介でやらかした珍プレー「若者らしく、と会社が言ったのに…」
渾身の自己紹介に、人事の反応は?
そうして山本さんは、徹頭徹尾、お酒の話題で自己紹介を書き上げたのです。
「大学時代から日本酒が大好きだったので、ここぞとばかりに日本酒の話題を詰め込みました。オススメの銘柄の紹介とか、会社の近くにある日本酒バーの紹介などです。とはいっても、大筋は自己紹介の基本に寄せました。
『私の強みは積極性と行動力があることです。この強みを発揮して、日本酒の検定資格を取得しました』といった感じです。文末は、『コロナが収束したらたくさん飲みに連れて行ってください』と、先輩社員へのアピールを添えて締めくくりました。良い自己PRになるかなと反応を楽しみにしていたんです」
しかし、人事からの評価は、山本さんの予想外のものでした。
「提出してから早々に自己紹介の件で電話があり、『ふざけすぎている。社会人としての自覚をしっかり持ってください』と絞られてしまいました……」
だったら人事も「若者らしいフレッシュな自己紹介を」なんてフカさなければいいのに。
会社が言う「若者らしく」は、だいたい口だけ
結局、山本さんの自己紹介文には人事の添削がはいり、社内報に掲載されたのは例年同様、平坦な内容の自己紹介だったそう。
「オススメの日本酒の話などはほとんど削られて、同期と比べて圧倒的に文字数の少ない、貧相な自己紹介が載ることになりました……。一緒に書いた同期はというと、攻めた自己紹介と真面目な自己紹介の2種類を提出していて、人事からゲキを飛ばされずに済んだそうです。
今振り返ると、勝手に広告代理店に華やかなイメージを想像していて、『まあこれくらいは大丈夫か』と調子に乗っていたのかもしれません。ただ、フレッシュな風を吹かせようと張り切って書いたので、早速お堅いムードを感じてしまいガッカリです」
ちなみに、社内報で自己紹介を書くときには、仕事への意気込みと個性をバランスよく織り込むことが大切なのだそうです。
会社が言う「若者らしく」「個性的に」「冒険して」といったセリフは、口だけだと思ったほうがいいですね。
<TEXT/モチヅキサトシ>