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JR東日本、コロナ禍でも揺るがない「IT・Suica事業」のスゴさ

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 新型コロナウイルス感染防止のために、全国を対象とした非常事態宣言が5月31日まで延長されました。当分は人々の動きが抑制された状態が続く見通しです。

 この動きでダメージを受けているのが、JR東日本をはじめとした各種鉄道会社です。JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)の2020年3月の鉄道営業収入は前年同月比59.5%と大きく落ちこみました。

新宿駅

新宿駅 Photo 93508267 © Anthony Shaw

 この数字のみを見ると驚きですが、同社は「鉄道会社」としての顔以外に、オフィスビル・商業施設・ホテルの運営事業者、さらにはクレジットカード事業者としての顔も持っていることはご存じでしょうか?

 本連載では「(ブラック企業アラート改め)アラートさん(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。今回は、JR東日本についての各種公開情報から、それらの事業もあわせた影響を確認・整理していきます(以下、アラートさんの寄稿)。

業績:運輸部門の比重が高い

 まず、JR東日本の連結決算データをもとに、事業別の売上推移を確認します。

東日本

図1:事業別売上推移(決算短信より筆者作成)

 直近20年間のうち、2回ほどセグメント変更を行っていますが、今回議論の対象とする直近のセグメント(2017年3月期~)のみ注釈を入れます。

■ 運輸事業…鉄道事業のほか、旅行業(びゅうトラベルなど)、清掃整備業、駅業務運営業、設備保守業、鉄道車両製造および鉄道車両メンテナンス業

■ 不動産・ホテル事業…ショッピングセンター(ルミネ・アトレ)の運営、オフィスビル開発・貸付、ホテル業

■ 流通・サービス事業…小売・飲食業、卸売業、貨物自動車運送事業、広告代理業

■ その他事業…クレジットカード事業・Suica事業

 グラフでも示した通り、JR東日本の売上の大半は「運輸事業」から発生しているのですが、そのシェアは年々減少傾向にあります。(この20年間で72.9%→63.1%と9.8ポイント減少)

営業利益の推移を確認。乗客減の影響は?

 ただし、「売上が十分にあっても営業利益が赤字」というケースは多々あるので同様の区分けで営業利益の推移も確認していきましょう。すると、直近20年で営業赤字に陥ったことはなく、運輸事業関連から得られる利益額が最も大きいことがわかります。

東日本

図2:事業別の営業利益推移(決算短信より筆者作成)

 また、運輸事業のシェアも徐々に下がっており、この20年間で88.0%→65.3%と22.7ポイント減と、運輸事業以外の事業を着実に育ててきていることが伺えます。

 2020年度末の乗客減・数年の業績のみを見て「不振」と書くメディアが散見されますが、別軸の事業を着実に育て、営業利益を積み上げている点については評価すべきでしょう。新しい事業を立ち上げ、軌道に乗せるのに大きな困難が伴うからです。

 とはいえ、売上・営業利益ともに運輸事業が占める割合が6割を超えており、「乗客減の影響が無い」とは言えません。では次は、今後の乗客減によって、運輸事業に起き得る営業について、輸送量推移と運輸収入から確認していきます。

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