コロナショックで「最悪の経済危機」が到来。海外では暴動やテロも
経済的な不満が2019年に激化
若者の経済的な不満は、2019年、各国から怒りの声として激化した。
イランでは、11月中旬以降、政府によるガソリン価格の50%値上げ決定に端を発し、各地で若者らによる反政府デモが激化した。抗議デモは首都テヘランを中心に各地に広がり、デモ隊は各地のガソリンスタンドや銀行などを次々と襲撃し、その一部は治安当局と激しく衝突するなどし、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル発表による死者は300人以上(米政府の発表では1000人超とも)、逮捕者も1000人以上(イラン政府発表)と言われる。
南米チリでも10月下旬以降、政府による地下鉄賃上げ決定に反対する若者らの抗議デモが首都サンティアゴをはじめ各地に拡大した。若者の一部は略奪行為や建物を放火し、治安当局と衝突するなどした。1990年の民政復帰以来、最悪の暴動になっており、去年11月下旬時点で、チリ政府は死者は少なくとも26人、負傷者は1万3500人以上と発表した。
デモによって一体感を作り出す
こういった経済的な危機を訴える若者の姿は、フランスやイラク、レバノンなど各地で日々目撃された。若者たちは「大学も出たのになぜ俺の待遇は低いんだ?」「同じ学歴なのになぜ友人は裕福で俺はそうじゃないんだ」のような不満、格差から生じる劣等感を強く感じでいる。
そして、世界恐慌の時代と違い、インターネットやSNSが世界中で日常的に使用される現在、10代や20代の若者たちは日々世界で何が起こっているかを簡単にチェックし、自分たちと他者を同一視、もしくは比較することができる。
一部のデモでは、スマートフォンでデモの動画を撮影してSNSに流し、各地のデモの様子を見ながら「世界の若者の一体感」を作り出そうとする者も多くいる。