売上3万台超「焼きペヤングメーカー」はなぜ生まれたか?
クラファンで「5000万円集めた」
企画が立ち上がってからは、協力工場に試作品の制作を打診。その過程を経て、量産化できるとなった場合に満を持して製品化されるとか。山さんは「アイデアが100あるうちで試作品になるのは10点ほど。さらに製品化されるのは数点」だと話します。
「さまざまな理由で製品化に至らなかったモノもあるんです。例えば、アイデアの時点で『これは面白い!』と思った中では、ドラゴンの形をした加湿器がありました。
煙の吹き出し口の根元からオレンジ色の光を当てて、まるで炎を吐いているかのようにみせようとしたのですが、他社がすでに似た製品を出していたので断念しました。また、特許の関係で残念ながら実現に至らなかった企画もあります」
製品ごとのクラウドファウンディングにより、ユーザーからの支持をみきわめているのも同社ならではの取り組み。なかでも昨年5月、5000万円以上もの資金を得ることに成功したコーヒー豆の家庭用焙煎機「ホームロースター」は売れ行きを伸ばしているといいます。
ポップコーンメーカーを応用した
「ユーザーのみなさんにいつでも挽きたてのコーヒーを味わってもらいたいという思いから作った製品だったのですが、もともとはポップコーンメーカーを応用して『コーヒーロースターを作れないだろうか』という取引先の方との何気ない会話から生まれたモノでした。
昨年後半から50~60代を中心に人気を高めているのですが、今年はさらに押し出していければと思っています」
家電メーカーといえば「この会社は◯◯の製品に強い」と各社ごとの特徴が強く打ち出される印象もありますが、アイデアファーストで製品を届ける同社は、特定のカラーを持たない最大の特徴なのかもしれません。
今後も、少し違った角度からのヒット家電をたくさん生み出してくれるはずです。
<取材・文/カネコシュウヘイ>