サッカーU‐23で惨敗した森保一代表監督。東京五輪への難題
「海外組」に戦術を浸透させる時間はあるか
特に、アジア選手権への試金石とならなければいけないはずだった昨年11月に広島でのコロンビア戦、そして年末に長崎で行われたジャマイカ戦の2試合では出場選手の顔触れがいずれも大きく違うものとなった。
アジア選手権初戦となったサウジ戦でスタメンに名を連ねた選手の中で、昨年秋からの2つの国際試合で先発出場したのは田中駿太、旗手玲央、岡崎慎、そしてゴールキーパーの大迫敬介の4人だけ。
その上、4人とも連続ではなく、いずれかの試合で先発したのみ。つまりスタメンの組み合わせはほぼぶっつけ本番の状態でアジア選手権を迎えたと言っても過言ではない。
また、コロンビア戦ではA代表の主力でもある堂安律や久保建英、板倉滉がスタメンで出場し、年末のジャマイカ戦には安部裕葵が招集されるなど「柱」となるはずの海外組も別々で招集されている。戦術の浸透には極めて相応しくない状況であることは明らかだ。
今後、国内・海外組の組み合わせやオーバーエイジの加入などを考えると、大会までにさらにピッチ上の顔触れが変化し続けることは目に見えている。アジア選手権敗退後、多くの選手が口にした「個の力」はもちろんだが、選手間の連携を高めるためには監督の立ち位置を含め何が必要なのか。最も目を向けるべきなのはそこではないのだろうか。
<TEXT/佐藤文孝>