新婚夫レンタルから謝罪代行まで「代行サービス」のドラマチックな舞台裏を社長に聞いた
2020年には600億円規模にまで市場が拡大すると予測される代行ビジネス。この波に乗り遅れまいと、住宅メーカーが「妻と娘の“擬似家族付き”住宅見学会」を実施したところ、SNSを中心に大きな反響を呼んだ。
「実際に触れ合えるのは20分程度だったそうですが、まさか住宅展示場に擬似家族を付けたのは変化球が効いているというか、とても面白いアイデアでしたね」
そう話すのは、リア充アピール代行やレンタル執事、家族代行、さらにマラソン励まし隊など、およそ40種もの代行・代理サービスを展開している株式会社ファミリーロマンスで代表を務める石井裕一氏だ。
今も問い合わせがあれば直接現場に出向くという石井氏が、単にビジネスだけでは割り切れないドラマチックで人間味溢れる代行サービスの実相について語ってくれた。
社会に役立てるような仕組みが作りたかった
石井裕一(以下石井):今の会社を立ち上げようと思ったのは24歳の時でした。それまで介護福祉の仕事や広告代理店に勤めていた時期もあったのですが、シングルマザーだった知人女性の苦労している姿を目の当たりにした時に、縁の下で支える存在でも構わないので社会に役立てるような仕組みが作れないものかと感じたんです。
それで思いついたのが、社会的なハンデを背負っていたり、コミュニケーションが苦手という方々に対して、我々が用意した「擬似家族」を派遣できないかというものでした。
――最初は“レンタルお父さん”などの家族代行から始まったそうですが、今や40種以上の代行・代理プランの中から最適な設定を選べる充実ぶりなんですね。
石井:おかげさまで問い合わせは年々増えています。最新の代行サービスは今秋から始まった「かり婚」という仮の結婚生活が体験できる女性限定のプラン。今の20~30代の若者はSNSに慣れ親しみすぎたせいか、自分のリアルな結婚生活が想像できないという人が増加傾向にあるそうです。
この「かり婚」では、夫の設定をエコノミー(フリーター/年収200万円)・ビジネス(銀行員/年収800万円)・ファースト(マザコンの資産家/年収2500万円)の3段階に分けて選ぶことができるので、さまざまな結婚生活の現場を擬似体験することができるんですよ。