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「ワークマン」ブームを的中。『日経トレンディ』ヒット予測の裏側を聞く

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「ラグビー」を入れられなかったことを後悔

ラグビー

© Catalina Zaharescu Tiensuu

――綿密な取材により情報をつかんでいる様子が伝わってきますが、編集部はどのような体制となっているのでしょうか?

佐藤:編集部員は9人で動いています。食品や家電といったように、それぞれの強みや担当の異なる編集部員が独自の取材網を活かしながら情報をつかみ、最終的に私やデスクが判断して集約するようにしています。また、弊社のBtoB向けWebメディア「日経クロストレンド」とも連携しています。

――それぞれの担当が異なることもあり、ランキング化する際の議論はだいぶ白熱するのではないでしょうか?

佐藤:どちらかといえば、白熱するのは「ヒット商品ベスト30」ですね。もちろん客観的なデータを頼りにしていますが、とはいえ編集部員それぞれの思い入れもやはりある。だから「自分の取材したジャンルのこの商品が絶対上のはずなのに、なぜこっちよりも下になるんですか!」と主張がぶつかるときもあります。

 対照的に「ヒット予測」は雲をもつかむような話でもあるので、もう少し緩やかです。ただ、それでも熱の入った議論は交わしています。選び方は弊誌独自の評価項目によるのですが、反対の声が上がる場合もありますね。

 実は2018年、「ラグビーを絶対に入れるべきだ」と思ってましたが、部員から「勝てば取り上げられるだろうけど、負ければブームにならない」という声があり、結果としてランキングとは別に、年表のページで少しだけ紹介したのですが、大々的に取り扱わなかったことが今でも本当に悔やんでいますね。

2019年は「ワークマンプラス」が的中

ワークマン

――翌年を予測する「ヒット予測ランキング」に対して、ある種の答え合わせとなるのがその年の「ヒット商品ベスト30」にあたると思いますが、2019年の手応えはいかがでしたか?

佐藤:1位に選んだのは「デカトロン&ワークマンプラス」でしたが、一方の「ワークマンプラス」を当てられたのはやはり嬉しかったですね。当時は一般消費者向けの専門店が「ららぽーと立川立飛」(東京)にできたばかりだったのですが、局地的なヒットを飛ばしていたものの、1年ほどで予想以上にシェアを拡大したのは驚きました。

 2位の「新元号フィーバー」は当然大きな話題を呼びました。そして3位に選んだ台湾発の新鋭書店「誠品生活」は、上陸したのが9月ということもあり、今後の動向を見守りたいところです。

 また、10位にランクインさせた位置情報ゲームアプリ「ハリー・ポッター:魔法同盟」には期待を寄せていたのですが、同種の「ドラゴンクエストウォーク」に見事にやられたという印象でした。

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