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働かない弟の「海外留学の夢」に家族が出資した結末

暮らし

今度は留学? ニートの夢に家族の決断は

 話し合いで知った弟さんの夢を両親へ伝えたWさん。若干呆れ気味ではありましたが、「やりたいことが見つかるのはいいことだ」と、もうしばらく温かい目で見守ることに。しかし1年も経たないうちに、弟の破天荒な行動が家族をまた困惑させます。

「今度は『英語の勉強のためカナダへ留学したい』と言い出したんです。漫画家の夢はどうなったのか聞いたのですが、『もう飽きた』と。正直、両親も私も完全に呆れて、むしろ図太さに感心してしまいました。当然、家族全員で反対はしましたが、弟の決心が非常に固かったのと、真人間に戻る最後のチャンスなのではと考え、家族で相談し、費用を出してあげることにしました」

 再就職するきっかけになるのならと、数十万円の留学費用を何とか捻出したWさんとご両親。

 実際に弟さんは2年前の夏から3か月間、カナダに留学。帰国後、しばらくは英語を生かせる仕事を探したり、現地でできた友人とメールのやり取りをしていたのですが、やはり長続きしませんでした。

「少しだけ期待していたのですが、結局、元の引きこもりに戻ってしまいました。両親に対して弟が言うには『まだ勉強期間が足りない。充分にマスターしてから就職活動を始める』と。それでは一生かかっても就職活動なんて始めないと思いますが、もう伝えるのも面倒になってしまって」

私たち家族にも責任はある?

桜の下の家族

 ちなみに現在、弟さんは英語を役立てる様子もなく、公園で遊ぶ子供たちに週1回サッカーを教えているのだとか。練習メニューを作ったり、教本を読み込んでかなり勉強しているらしいですが、Wさんは「弟が不審者として通報されないか」と、戦々恐々しています。

「行動力と好奇心は強いはずなので、あとはそれが長続きさえすれば結果を出せるはずなんですけどね。呆れてはいますが、どうしても身内なので無下にもできないというか。甘えさせてしまっている環境をつくっている私たち家族にも責任はあると思います」

 この弟さんの場合は、他人と交流を持っているので「引きこもり」とは言えないでしょうが、早めに専門家に相談してみたほうがよいかも。厚生労働省が第一次相談窓口として全国で運営している「ひきこもり地域支援センター」を頼りにしてみるのも、家族の悩みを解決する糸口になるかもしれません。

特集・兄弟姉妹のトホホな話

<取材・文/山田星人>

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