就活セクハラに女子学生らが緊急会見「OB訪問アプリは出会い系のよう」
多くの学生たちが「就活」を経て、自分の理想とするファーストキャリアを選択する。
ところが、人生の大事な分岐点である就職戦線において、女性の就活生が企業の人事担当者、あるいはOB・OG訪問といった就活に必要な情報収集をする際、セクハラやパワハラといった不当な扱いを受けるという被害が近年急増している。
2019年2月18日には大手ゼネコン・大林組の男性社員(27)が、自宅マンションにOB訪問に来た女子大学生を連れ込み、強制わいせつ容疑で逮捕。
3月26日には大手商社・住友商事元社員(24)が、OB訪問を希望した女子大学生を、カラオケ店の個室で大量の酒を飲ませて泥酔させた。トイレ内で胸を触り、その後、宿泊先のホテルに侵入して性的暴行を加え、逮捕されている。
「就活セクハラ」の被害を訴える記者会見
そういった就活の深刻な実情を踏まえて、12月2日午前11時、霞が関の厚労省記者クラブにおいて、「就活セクハラ」の被害を訴える記者会見が行われた。
会見では、東大・早稲田・慶應義塾・上智・創価・ICU(国際基督教大学)の学生有志らによるネットワークSAY(Safe Campus Youth Network)、Voice Up Japanの山下チサトさん、そして、東京大学大学院 情報学環の林香里教授、上智大学法学部の三浦まり教授らも同席した。
また、会見には「就活中にセクハラや性暴力を受けたことがある」と証言する、現役の女性就活生AさんとBさんが登壇。その生々しい就活セクハラの実態を証言した。
「私の就活はインターンから始まり、企業面接やOB訪問などにも積極的に参加して、なんとか内定をもらえるように一生懸命努力して来たつもりです。それなのに、面接を受けた企業の社員さんとの食事会では、『君は彼氏いるの?』とか、『うちは社内結婚がとても多いから君も安心だね。だけど早めに彼氏を作らないと売れ残っちゃうぞ』というような就活にまったく関係のないことを言われてしまい、とてもショックでした」(Aさんの証言)
ハラスメント防止策に抑止力はほとんどない
このAさんは、精神的にショックを受けつつも、「相手は自分が志望する企業の社員さん。こんな気色の悪い冗談でも笑ってごまかすしかなかった」と言う。Aさんが続ける。
「企業の人事担当者に、空気が読めない、コミュニケーションの取れない就活生だと思われてしまうと、次の選考には絶対に進めません。私はこんなツラい就活を後輩たちに経験して欲しくない。そのためには、私たちを守ってくれるきちっとした法律や指針が必要なのではないでしょうか」
2019年の10月21日、厚労省が「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上構ずべき措置等に関する指針の素案」という指針案を示した。しかし、そこには就活生に対するハラスメント防止策について「望ましい」とだけあり、実効性のある抑止力はほとんどないというのが現状だ。