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「コメダ珈琲」はなぜ愛されるのか?増収増益で絶好調

ビジネス

2)社長のキャラ:現場主義のプロ経営者

 現社長は臼井興胤(うすい おきたね)さんです。日本マクドナルド最高執行責任者・セガ代表取締役社長・米グルーポン社東アジア統括副社長を歴任して現職となった、いわゆる「プロ経営者」です。

 臼井さんは2013年に株式会社コメダ代表取締役社長に就任。株式会社コメダホールディングス代表取締役社長も兼務しています。

 就任後の2016年にコメダホールディングスは東証一部上場を果たし、1968年の創業以来、愛知県中心に展開していたコメダ珈琲の全国的な拡大・ブランド定着に多大な貢献をしています。

 臼井さんの特筆すべきエピソードはいくつかあり、どのエピソードでも徹底した現場・お客様主義の経営者であることが伺えます。

 経済ジャーナリストの高井尚之氏が寄稿した2015年12月の「ビジネスジャーナル」の記事では、

<マクドナルドでもコメダでも入社前は立場を隠して、各店舗でアルバイトとして働いた。今でも毎週木曜日の朝6時から9時までは、コメダ本社社屋の1階にあるコメダ珈琲店葵店で自らコーヒーを淹れて来店客に提供している>

<臼井氏に取材を依頼した際の面白いエピソードがある。週末に同氏が取材に応じる場所として自宅近くのFC店を予約しようとしたところ、「週末は一段と混むので座席の予約はご遠慮ください」と丁重に断られたという。結局、別の直営店で取材したが「社長よりも客が大事」なのは、お客様第一の姿勢として健全といえよう>

 といった興味深いエピソードも紹介されています。

3)社風:フランチャイズの権限が強い

 外食産業には珍しい傾向ですが、フランチャイズ店舗の権限が非常に強いことで知られています。創業者の意向によるもので、創業時は「のれん分け」主体で店舗数拡大をしていった名残りであるようです。

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■フランチャイズ店舗の権限が強い例

・「裏メニュー」として「アジの開き定食」が存在する
・FCオーナーにキャンペーン協力を打診したら一蹴される

※臼井興胤●コメダホールディングス代表取締役社長
コメダがFC店の『裏メニュー』を完全排除しない理由」(2017.11.7)
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 ただ、完全にフランチャイズ店舗の自由裁量に任せているわけではなく、本部でブランドコントロールに必要な部分と、各フランチャイズ店舗において自由にしておく部分を絶えず調整しながら運営されているようです。

 これが、コメダ珈琲に入ったときに感じる「何となくくつろげる感じ」の源になっているのかもしれません。余談ですが、終電間際の新宿でとりあえずお茶を飲みながら話したい時にコメダ珈琲はめちゃくちゃ重宝します(!)。

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