台風19号で浸水…武蔵小杉タワマンは本当にリスクだらけなのか?
10月12日に関東地方を襲った台風19号による神奈川県・武蔵小杉のタワーマンションの地下浸水被害が連日報道されている。SNS上では「災害に弱い」などと、タワマン自体の価値を見直す意見もみられるようになった。
タワマンといえば、高級で快適な暮らしというイメージ。20代で憧れを抱いている人も少なくないはずだ。そんなイメージから、タワマン災害論争が一気に過熱した。
しかし、タワーマンションに住み、タワマンに関する執筆活動を行っているブロガー、のらえもん氏は「タワマンに限らず、それぞれの住居に異なった災害リスクがあるはずだ」と話す。実は過剰に騒ぎ立てられているだけなのか?
数十年に一度の重大な災害が迫っていた
まず確認しておきたいのは、首都圏に「数十年に一度の重大な災害」(気象庁発表)が迫っていた点だ。台風19号は広範囲・長時間にわたる大雨が特徴で、一都六県では初めて、大雨特別警報が発令された。
首都圏では「カスリーン台風」(昭和22年・利根川から江戸川流域にかけて大規模な被害をもたらした大型台風)をきっかけに「河川改訂改修計画」が策定、数十年に渡りインフラが強化されてきた。結果、整備された堤防や放水路が生かされ、一部地域で氾濫・浸水するにとどまったのだ。
「武蔵小杉の浸水は、多摩川の増水がある一方で、大量の雨水の排水の処理が追いつかず溢れ出たものです。排水溝から水が溢れて泥が堆積したということは、多摩川とつながる排水溝から逆流したと考えられます。
排水先も増水した上に、大雨が降ったらひとたまりもありません。雨のコースが少しズレていたら、武蔵小杉に限らず他の地域でも同様の被害が起きていたかもしれません」(のらえもん氏、以下同じ)
タワマンは配電盤が地下にある建物が多い
武蔵小杉のタワマンは、浸水による停電、下水処理施設が機能しなくなるなどの被害を受けた。
「今回被害が大きかった物件は、配電盤などのインフラ設備が地下に格納されていて、浸水と泥の被害に遭いました。大規模なマンションや高層マンションは配電盤が地下にある建物が多いですから、今後、記録的短時間の大雨や台風によって同様の被害を受けることはあるかもしれません」