bizSPA!

暗記した知識を忘れないには?東大クイズ王が実践する4つの方法

コラム

「覚えたつもり」をあぶり出す

 ただ、クイズで確認するというのは、少し特殊。みなさんがすぐに実践するのは難しいので、誰でもできる方法も紹介します。それは、「書き出してみる」ことです。

 たとえば、アメリカの州を暗記したいなら、まっさらな状態から地図を紙に書いてみます。そして、実際の地図と照らし合わせ、できていたらOK。もし、少しでも間違えているところがあったら覚え直し、近いうちにまた紙に書いて確認します。

 この方法は、ヒントがまったくない「白い紙に書く」というところがポイント。「覚えた」と自分の頭の中で思っていても、実際には細部があやふやだったり、覚えている部分と思い出せない部分がまだらになっていたりするものです。

「書き出す」ことで、あやふやな部分をあぶり出しつつ、覚えている部分の定着度も上げることができるのです。

暗記に必要な4つのステップ

東大王

 暗記には、全部で4つのステップがあります。最初は「覚える」ステップ。これは頭に情報を入れる段階です。2番目は「穴埋め問題・短答問題に正解できる」ステップ。これは大事な情報や固有名詞は覚えている段階。3番目は「記述問題に答えられる」ステップ。これは知識と知識を線で結ぶことで、ある事象の全体像が見えているレベル。

 最後は「人に教えることができる」ステップ。この状態が真に「物事を理解した」といえる段階です。「わかっていると思っていたことが、人に聞かれるとうまく説明できなかった」という経験は誰でもあるでしょう。「人に教えられる」というのは、インプットが十分にできているのと同時に、アウトプットできるように頭の中が整理されている必要があるのです。

 この段階まで到達できたら「暗記は完璧」と考えてOK。ここまで頑張った自分のことをほめてあげてください。僕の場合、医学部の学生として骨や関節、筋肉、内臓など体のつくりを正確に把握していなくてはいけません。そこで、ノートに人体図を書いて、しっかり頭に入っているかを確認しています。

 最初はあやふやだったものが完全に書けるようになったときや、人に聞かれて説明できるようになったときには成長を感じます。こういったインプット・アウトプットの経験を重ねることで、まるで、筋トレの成果を鏡の前で確認するように、新しい知識がついたことを実感できるのです。「もっと、いろいろ覚えよう」という気持ちが湧いてくるでしょう。

 このように、暗記の効果を実感できるようになると、モチベーションが上がり、新たな知識を次々と頭に入れていけます。

・「どれくらい覚えたか」がわかればモチベーションが上がる
・「白い紙」に書き出して、定着度をチェック
・暗記の最終段階は「人に教えられる」こと

<TEXT/水上颯>

東京大学医学部6年生。1995年山梨県生まれ。2012年、私立開成高等学校在学中に、第32回全国高等学校クイズ選手権で優勝。2014年、東京大学理科三類に現役合格。2017年、高い志と異能を持つ若手人材支援を行なう公益財団法人 孫正義育英財団の財団生(1期生)に選ばれる。TBS系『東大王』に東大王チームとしてレギュラー出演中。その他、クイズ番組を中心に、テレビ出演多数。本書が初の著書となる

12
東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣

東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣

現役東大医学部生、孫正義育英財団財団生、『東大王』リーダーなど、 多方面で活躍する東大クイズ王が、 思考の生産性を上げる「5つの習慣」を大公開!

人気タグ

おすすめ記事