25歳の国際協力師が見た、少女兵士の現実「ムチで200回叩かれた」
強制結婚、ムチ叩き…元女性兵士の過去
――これまでフィリピン、バングラデシュ、ウガンダで、元子ども兵士の社会復帰、難民への人道支援、公衆衛生の啓発といった活動をしてきたと聞いています。特に、印象深いエピソードがあれば教えてください。
原:そうですね。やはり、アフリカで国際協力の活動をするきっかけとなった、元女性兵士のアイーシャ(仮名・29歳)との出会いでしょうか。彼女は、今から17年前の12歳のとき、ウガンダで最も残忍な反政府組織と言われる「神の抵抗軍」に誘拐され、14年間拘束され続けます。そんな彼女に幸運にも2回も直接話を聞くことができました。
1回目は2016年の冬で、このときは「男性兵士と強制的に結婚をさせられて子供を妊娠・出産」「水と食料ゼロの中、銃を肩にかけながら生まれたばかりの赤ん坊を片手で抱えて政府軍の掃討作戦から4日間逃げ回った」、そして「脱走に失敗し、他の子ども兵への見せしめとしてムチで200回叩かれた」など、子ども兵だったときの体験談を中心に聞かせてもらうことができました。
涙をこらえ気丈に振る舞う彼女の姿を思い出すだけで、今でも鳥肌が立ってしまいます。
現地の人たちは力強く生きている
――やるせないですね。2回目はいつ頃お会いしたんですか。
原:1年後の2017年の冬です。アイーシャは、ちょうど日本のNPO法人が行っている技術訓練の過程を半分終え、培った洋裁の技術をいかしてビジネスを立ち上げていこうとしているところでした。
赤ん坊が生まれたタイミングだったこともあり、「子どもが教育を受けられるようにしっかり稼ぐ」と笑顔で語る姿に母親としての力強さを感じつつ、たった1年で人間が変われることを教えられました。
病気、内戦、貧困といったあらゆるリスクがあるアフリカにおいて、現地の人たちは環境に適応しながらしなやかに力強く生きている。こういうところは、われわれ日本人のほうが学ぶことが多い。この“変わる力”は、アフリカに関わり続けたいと思う動機であり、魅力でもあります。