20代社会人も知るべき、チームをまとめる「ディズニーの教え」
仕事の分岐点にぶち当たったら……?
――ある程度の年数を働いていると、このまま社内での昇進を狙うのか、転職するのか、はたまた独立すべきか、という分岐点に立たされますが、そのときはどんなふうに考えるのが良いのでしょう?
香取:まず、10年後、20年後の明確なビジョンを考えてみてください。仕事で想像しにくかったら、先にプライベートの理想を考えると簡単です。「どこでどんなふうに暮らしたい?」「結婚はしているか?」「子供はいるか?」など。
僕自身、20代の頃は将来に明確なビションはありませんでした。でも、20代後半に将来の理想を考えたら、現在その通りになっている。嘘みたいだけど、人間の脳ってイメージした方向に近づこうとするんです。
――では、ゴールが決まったら、次はどんなふうに仕事をすればいいのでしょう?
香取:その理想の生活をするためには、どんなふうに働くべきかを考えてみてください。そこで使ってみて欲しいのが、タテ軸が自分の気持ちで、上が「やりたい」、下が「やりたくない」、ヨコ軸は周囲の気持ちで、左が「あなたにやって欲しくない」、右が「あなたにやって欲しい」としたチャートです。
香取:一番成功する確率が高いのは、自分がやりたくて、周りからも期待されている仕事(右上のゾーン)だと想像がつくよね。対して、一番確率が低そうなのは、自分も周りも期待していない仕事(左下のゾーン)。自分にとって、この右上ゾーンの仕事はなんなのかを考えてみてください。
では、右上ゾーンの次に優先すべきはどんな仕事か? それは、周りがやってもらいたいと思っていること(右下のゾーン)だと僕は思います。自分で適性がないと思い込んでいても、周囲の期待があるなら、成功の確率も高いはずなんです。
今はアイディア次第でどんな未来にも進める
――「やりたいかどうか」だけでなく、「周囲から求められるかどうか」という視点が大事なのですね。
香取:実は、僕がコンサルに転職したのも、本を書いたのも、周囲の期待からでした。転職は、ディズニーランドの先輩から、知人のコンサル会社が若手社員を募集していると勧められたからですし、著書のネタ元となったメルマガも最初は業務命令でした。でも、それをやり続けていたら本になって、それをもとにセミナーや講演会をしていたら、独立することになった。
――自分の意思だけでやりたいと思って仕事を始めたわけではなかったんですね。とはいえ、“人生一度きりだから、やりたいことをやりなさい”なんて言葉もあります。やりたいことがある人はどうすべきでしょう?
香取:もちろん、自分でやりたいことがある人は挑戦したらいいと思う。でも、周りが求めていないなら、ちょっと待って! その前に、周りが「君にやってほしい」と言ってくれる仕事を選ぶのも、有意義な選択だと思う。それで認められたら、確実なステップアップにつながる。自分のやりたい仕事は、その後からでも全然遅くないはずです。
――最後に、若手ビジネスマンへ一言お願いします!
香取:今は社会の転換期。昨日までの成功法が、今日は通じないなんてことがザラにある。絶対の決まりがない中で働く皆さんは、本当に大変だと思います。
でも、見方を変えれば、アイディア次第でどんな未来にも進める。やりがいのある社会と言える。だから、将来のビジョンを描いて夢を叶えてください。
<取材・文/阿形美子>