湾岸タワマンで、ひっきりなしに引っ越しが発生する理由
「入居者が次々に入れ替わる=悪いこと」ではない
次々に人が入れ替わることは、決して悪いことではありません。実家のマンションを見ると、最初の入居者が入れ替わらないことのリスクも垣間見えてきます。
・入れ替えが恒常的に発生するので若い入居者が相対的に多い
入れ替えが起こらないマンションは、建物と同時に入居者も“老いる”ということをそのうち強烈に意識するようになります。また私の実家のマンションを実例に挙げて恐縮ですが、入居から約30年経った中規模の郊外マンションです。
その昔、棟内で小学生以下の子どもは200人以上いましたが、いまはその10分の1。子どもより圧倒的に高齢者が多く、あと5年もすると、当初の入居者は全員後期高齢者に突入します。そうなると、マンションの維持が危機的になってきます。いま、有償のごみ出しのボランティアを募っているという話を聞くと、日本社会全体の高齢化問題を感じます。
しかし、現在のところ湾岸タワマンについて、その心配は薄いです。30代前半の若い方が次々に中古や賃貸で入居して来られるので、結果としてバランスの良い住民構成になってきます。
・取引数が極端に多いため相場がわかりやすく、安心して取引することができる
近隣含めた取引数の多さも、買う側からすると重要なポイントです。
自分が買おうとしているこの価格は高いのか安いのか、を気にする方は多いと思いますが、湾岸タワマン界隈は、日本一中古マンション取引が活発なエリアですので、相場が誰にでもわかりやすくなっています。
その一方で、マンションの中での蓄積が少ない
入居者が固定された世界では、その住民が歴史を作ってくるものです。一例をあげれば、住民主導のお祭りや盆踊り、商店街とのイベントなどでしょう。湾岸タワマンのエリアでは、いくつか芽は出てきているものの、まだ他エリアに比べるとその意識が薄いと住んでいて感じています。
住民の入れ替えが多いエリアではしょうがないことではありますが、このあたりは時間が解決するのか、それともずっとこのままなのか、実は私にも今後はよくわかっていません。
総じて、ちょうど賃貸と分譲の間くらいの世界に湾岸タワマンはいます。来るもの拒まず去るもの追わず、新参者といって余所者扱いされる心配が一切ないのが面白いですね。
<TEXT/のらえもん>