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洋画の吹き替えや宣伝に芸人が起用される謎。「MIB」にも賛否の声が

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宣伝関係者は「暖かく見守ってもらいたい」

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 ほかにも、日本語吹き替え版に所ジョージ、田村淳らが起用され、物議を醸した『ザ・シンプソンズ MOVIE』(2007)、オリエンタルラジオの棒読みに非難が相次いだ『TAXi 4』など、洋画配給会社のキャスティングが、批判の対象になるというのは、もはや伝統芸みたいなものだ。

 こうした事態について、先ほど話を聞いた映画宣伝業界関係者Aさんは、こう語る。

「お笑い芸人の起用法について、ここ数年間、SNSを通して多くの批判が聞こえてくるので、業界としては重々承知をしているはずです。ただ、宣伝という観点から、知名度のある方に応援いただけるというのは、非常に強みであり、多くの人に興味を持っていいただける展開です。

 私自身も映画が好きで、この業界に入りましたから、過去作品の熱心なファンの意見も痛いほどわかります。しかし、そういう方たちには、商業的な側面をご理解いただき、暖かく見守ってもらいたいです」

 映画を愛するファンも、より多くの人に鑑賞してほしい配給元も、どちらの言い分もわかる。今回の新作『MIB』の炎上に対しても、実際、どれだけのファンが劇場で鑑賞するつもりだったのか。これからも劇場で多くの洋画が観られるためにも、まずはお互いの考えを十分に説明しあい、歩み寄ることが求められるだろう。

<取材・文/シルバー井荻>

平成生まれの編集者・ライターです。赤羽と阿佐ヶ谷に出没します。ビジネスサイトの編集長もやってました。

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