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新入社員の悲劇「初任給30万円がゼロ」それでも違法行為と言えない理由

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「給与支給が遅延」事前説明がなかったら?

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 今回のケースは内定式で、本人に(よく理解していなかったとはいえ)事前説明があったが、もしこの説明がなかった場合、「ブラック企業」だと訴えることはできないのか?

「事前に説明がない場合は、違法に当たります。そもそも労働契約を結ぶ際は、使用者は労働条件を明示することが義務付けられており、賃金の締め日と支払日は必ず明示しなければならない事項のひとつです。入社の際に取り替わす『労働契約書』または『労働条件通知書』にその説明がない場合は、労働基準法第15条第1項と労働基準法施行規則第5条に抵触します。採用内定によって労働契約が成立する場合も、内定時に労働条件を明示する必要があるため、説明がなければ同様に違法です」

 さすがにこれはアウトになるようだ。しかし、ここで気になるのが、そもそも企業側が初任給の支払いを遅らせるのはなぜなのか? どんなメリットがあるのかという点だ。

「社員の人数が多かったり、地方の支店などが多くあって本社で一括して計算したりする企業などは、データのやり取りや確認に時間が必要なため、余裕をもって日程を組んでいることがあります。今回のケースを見ると、締め日と支払日の間の期間は、確かに長いと言えますが、社員の勤怠状況を集計して残業の計算等を行うため、余裕をもって日程を組んでいることが考えられます」

 あくまでも会社都合ということだ。しかし、事前に説明がある場合は違法行為で訴えることはできないようなので、就活生や新入社員のみなさんは事前に貯金を増やしておくよう気をつけておきたい。

<取材・文/シルバー井荻>

平成生まれの編集者・ライターです。赤羽と阿佐ヶ谷に出没します。ビジネスサイトの編集長もやってました。

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