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孤独死は誰にでも起こりうる。26歳「特殊清掃人」が目撃した共通点

学び

特殊清掃という仕事自体が「なくなる」のが理想

――今のお仕事ならではのやりがいはどういった部分でしょうか?

鈴木:作業中は過酷な環境下にいるので感じづらいのですが、終わったあとに「鈴木さんのところに頼んでよかった」と言われると、ご遺族やご依頼主の負担を減らせたのかなと思えるのでやはり嬉しいですね。

 また僕自身、実は今の仕事へ就くまではいろいろな仕事を転々としていたのですが、2年も続いている仕事というのが生涯で初めてなんですよ。現場によって毎回違うことをする上での発見もあるし、故人の周囲にいる方々の「心のお片付け」を少しでも手助けできるという達成感は何ものにも代えがたいです。

――最後に、今後はどのようにお仕事を発展させていきたいですか?

鈴木:僕の理想としては、特殊清掃という仕事自体が「なくなること」が世の中のためだと感じているんです。ただ、現実的には難しいですよね。そのために孤独死とは何かを問いかけようとYouTubeでも“お片付け請負人・すーさん”の動画をアップするようになりました。まずはもっとたくさんの人にその現状を伝えていきたいですね。

 また、今は大田区を拠点に千葉、東京、神奈川、埼玉を中心に関東一円の現場に出張しているのですが、細かくみれば特殊清掃の業者が近くで見つからない地域もあるはずなので、将来的には拡大させていきたいと思います。

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 自身のYouTubeチャンネルでは、現場での経験をふまえて孤独死やセルフ・ネグレクトについての啓発にも積極的に取り組んでいる鈴木さん。

 人の“死”に関わる仕事というのは、世間的にみてそう多くはない印象もあります。しかし、ときには過酷な環境下で作業することもあるという仕事を通して鈴木さんは、故人や周囲を取り巻く人びとの意思と真摯に向き合い続けています。

<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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