「お言葉を返すようですが」を2語の英語でどう表現するか?
簡単そうで、なかなか使いこなせない単語のひとつにDueがあります。たぶん多くの人は、Deadlineの類義語としてDue dateを使ったことがあるかもしれません。
Deadlineは締め切りで、Due dateはその中でも締め切りの「日」です。My homework is due at 10am tonight.は「宿題は今日の夜10時が提出期限です」の意味です。
学生同士で、When is the assignment due?「宿題はいつまでだったっけ?」という会話をしているのを耳にすることもあります。また、The baby is due later this month.なら「赤ん坊が今月末に生まれる予定です」の意味です。締め切りにしても、赤ん坊にしても、「何かが起こる」というイメージですね。
【第31回】「起こるべく」という意味のDue
しかし、Dueにあるのは「締め切り」の意味だけではありません。Due processという表現をご存知でしょうか? Due process of lawとも言われます。
法律用語で「適正手続」とか「適法手続」と訳されますが、法的な権利をきちんと行使しながら裁判などが行われること。例えば、きちんと自分の主張を述べることができて、公平や裁判官による判決を受けることです。法律用語ではありますが、契約や訴訟など、ビジネスでもよく耳にする表現です。
また、With all due respectという表現もあります。これは相手に反論するときによく使います。特に、相手の方が目上であったり、経験豊富であったりした場合、「あなたをリスペクトはするのですが……」と、ややへりくだりながら自分の意見を言う表現です。言い換えれば、With all due respectの後には相手への同意ではなく、反論があると考えていいでしょう。
Due processの場合も、Due respectの場合も、やはりDueには「起こるべく」とか「あるべく」という意味があります。「そこに存在すべき過程」がDue processです。Due respectは「相手に示すべきリスペクト」があるということ。もしも通訳するなら、「お言葉を返すようですが」とか「失礼ですが」と訳せば、自然な日本語であると同時に、英語のニュアンスも伝わります。
ネガティブな理由を示す表現としても
また、DueはDue toというフレーズで学んだ人も多いでしょう。Due toはBecause ofと同じように、理由を示す表現です。
Due to poor weather, we will have to cancel out event today.は「天気が悪いので、今日のイベントはキャンセルせざるを得ません」の意味です。Due toをBecause ofと入れ替えてもOKです。ただ、Because ofのほうがDue toよりもカジュアルな響きがあります。
この2つの基本的に言い換えができますが、同じように理由を示す表現であるThanks toはプラスの表現。Because ofもDue toもネガティブな時だけに使われるわけではないですが、多くの場合はネガティブさがあります。
逆にThanks toはポジティブな時に使います。Thanks to your help, we were able to meet the deadline.「あなたのおかげで、締め切りに間に合いました」となります。
<TEXT/木内裕也>