「20代は混迷の時期だった」ハリウッド大物プロデューサーを直撃
SFアクション『トランスフォーマー』シリーズに登場するキャラクターにスポットを当てた『バンブルビー』の公開がスタートしました。80年代を舞台に、バンブルビーと心に傷を抱えた少女チャーリーの交流が描かれます。
プロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは、ワーナー・ブラザース社の副社長を経て、現在は製作会社ディボナベンチュラ・ピクチャーズの最高経営責任者として多くの作品を手掛けている大物です。
またとない機会に『バンブルビー』についてはもとより、ワーナーを離れたときのことなどを直撃しました。
『バンブルビー』のテーマは自己探求
――シリーズ第1作の『トランスフォーマー』(’07)より前となる物語を描いたのはなぜですか?
ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ(以下、ボナヴェンチュラ):これまでのシリーズのファンからの声で一番多かったのが、おもちゃからアニメシリーズになったときの第1世代と呼ばれるトランスフォーマーたちの活躍を観たいという要望だった。
個人的にも何らかの形でやりたいと思っていたし、シリーズとして同じことの繰り返しもつまらないからね。何か新しい映画鑑賞体験を観客に届けたかった。それで、全く違った角度から、違った方向性のストーリーをやりたいと思ったんだ。
――なぜ固定のキャラクターを選んだのでしょうか。またバンブルビーを選んだからこそ描けたことは?
ボナヴェンチュラ:バンブルビーを選んだのは、トランスフォーマーのなかで、もっとも人間らしいオートボットだったからだ。もしオプティマスを主人公にしたら、ユーモアは描きづらい。彼は完全無欠な堅いキャラクターだからね。
それに、バンブルビーなら、今回のテーマでもある自己探求、自分探しというテーマが描きやすい。チャーリーとの関係というエモーショナルな部分も自然に描けるしね。
彼を主人公にして作ったことで、このシリーズがアクションを通じて感情深いところまでしっかり描けると気づいたし、わんさかトランスフォーマーが出てこなくても、トランスフォーマー映画として成立すると気づいたよ。
20代は「このままでいいのだろうか」と悩んでいた
――ハリウッドで大成功されています。本作のテーマは自己探求とのことですが、ご自身の20代はどんな時期でしたか?
ボナヴェンチュラ:僕は遅咲きのタイプなんだ。20代の半ばくらいまでは無我夢中で突っ走っていたけれどね。
半ばから後半くらいにかけて思春期的な「このままでいいのだろうか、自分はどうあるべきなんだろう」という悩みにぶつかった。20代は混迷の時期だったね。
――そこから映画プロデューサーという仕事を選ぶことになった理由は?
ボナヴェンチュラ:実は自分自身も特別目指していたわけではないんだ。いまだに、なぜ自分はこのポジションにいるんだろうと思うくらいだよ(笑)。
27~28歳くらいのときに壁にぶち当たって、今後の自分のキャリアをいろいろ考え始めた。自分が興味を持って生涯を捧げられるような仕事はなんなんだろうと。