AIG損保、サントリー…大企業が“転勤の強制”を見直しはじめた理由
転勤の有無による処遇格差も問題に
独立行政法人労働政策研究・研究機構が「企業の転勤の実態に関する調査」というレポートを発表しています。
それによると、転勤をする際に困難に感じることについて調査した結果、「介護がしづらい」(75.1%)、「持ち家を所有しづらい」(68.1%)、「進学期の子供の教育が難しい」(65.8%)、「育児がしづらい」(53.2%)、「子供を持ちづらい」(32.4%)、「結婚しづらい」(29.3%)となっています。
また、男女比を見てみると、女性のほうは「子供を持ちづらい」「結婚しづらい」「育児がしづらい」という答えが多く、男性は「進学期の子供の教育が難しい」「持ち家を所有しづらい」「介護がしづらい」との回答が多い結果が出ています。
サイボウズ青野社長「転勤の無理強いはしない」
「転妻(転勤族の妻)の苦労についても、もっと取り上げてほしかった」
「自分は親の転勤で、何度も転校しましたが、大変でした」
ツイッターに寄せられた感想を見てみても、転勤をする本人だけでなく、妻や子供が移住に伴うストレスを受ける事例が少なくないようです。ワーク・ライフ・バランスが見直される昨今、転勤は必要最小限に抑えられていくかもしれません。
番組では、コメンテーターとしてソフトウェア開発大手サイボウズの青野慶久社長が出演。大阪に構えていた本社を東京に移す際、社員40人を半ば強引に転勤させたそうですが、「その後の数年間で社員がどんどん辞めてしまう苦い経験をした」と番組内で語っていました。
それを受けて、青野社長は「現在は、営業計画よりも社員の意向を優先し、転勤の無理強いはしなくなった」そうです。
転勤したくない人にまで転勤を強いる現在の制度に問題が多いのは事実。人材を採用し、定着させるためには、一人ひとりの働き方を見ないといけない。そういう時代がやってきたのかもしれません。
<TEXT/湯浅肇>