日本アニメは追い越されるかも?「中国アニメ」2兆円市場の原動力
独自に発展する中国国内のカルチャー
日本貿易振興機構(JETRO)が公表した1980年代から2000年代世代のライフスタイルに関する調査レポートによると、中国で日本のアニメ作品が好きな世代は1980年代生まれに集中しているそう。
スマートフォンに馴染みが深い1990年代生まれの若者は、マーベル・コミックスやディズニー、中国国内で作られたゲームなど、趣味が細分化しているようです。
さらに、中国産ボーカロイド「洛天依」の楽曲を有名歌手がカバー、中国の伝統的な古装のコスプレなどが流行するなど、和製アニメファンは減少していると分析しています。
日本の直接的な影響を脱し、独自の文化が形成され発展を遂げつつある時期に中国は突入しているのでしょう。日本でも中国で作られた作品が大ブームになる日がもうすぐそこまで来ています。
国境の垣根を超えて文化を享受
「日本のアニメーターの労働環境がブラックだというのはよく聞くけれど、早急に改善しないと衰退していくばかりだよ」
「中国と日本のクリエーターが協力して制作すれば、もっと新しい作品が生まれるかもしれないと思ったら、ワクワクする!」
ネットでは、恵まれた制作環境でアニメを制作するクリエーターを羨む声が多い一方、「このままだと、日本のアニメ産業が世界の中で存在感を発揮できなくなってしまうのではないか」と危惧する声も少なくありませんでした。
動画共有サイト「bilibili(ビリビリ動画)」の日本法人は、東京都中央区にアニメ制作スタジオを2018年に立ち上げ、年間3本程度のペースで、独自コンテンツを制作する体制を整えました。
一方、日本のアニメ映画『夏目友人帳』が3月7日に中国国内で上映されることが決まっています。上映3日前の段階で前売り券の売上が300万元(約5000万円)を超えたという報道もあり、注目の高さが伺えます。
ネットの普及によって、軽々と国境を超えて、作品やクリエーターたちが行き来できる時代になりました。それによって、これまでなかった新しい表現をもった作品が数多く生まれてくることでしょう。そう思うと、楽しみな潮流がやってきたと捉えることができるのではないでしょうか。
<TEXT/湯浅肇>