日本アニメは追い越されるかも?「中国アニメ」2兆円市場の原動力
日本が世界に誇る産業のひとつ、アニメーション(アニメ)。しかし、近年では、中国がアニメ市場において存在感を増しています。
3月5日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、急成長する中国のアニメ産業の現場が紹介されました。
国を挙げてアニメ産業を盛り上げようとする施策にインターネットでは驚きの声があがっています。
中国アニメ産業の市場規模は2兆円5000億円
中国で制作された3Dアニメ映画『西遊記之大聖帰来』は、日本を含む60か国以上で上映され、興行収入は全世界で200億円を超えました。近年、中国のアニメは海外にも輸出されることが増えてきており、中国のアニメ産業の市場規模は2兆円5000億円にものぼっています。
同番組の取材班は「西遊記」を制作した現場を訪れ、急成長する中国のアニメ産業に密着取材をしました。2020年公開を目指して、現在制作されている作品がCGアニメ『深海』。その作品で使われているのが、人間の動きを記録し、キャラクターに演技をさせる、モーションキャプチャーという技術です。
この技術を使う施設は、中国政府によって整備されており、最先端の技術を、最大限に利用することができるそうです。また、クリエーターも、ハリウッドで活躍した経験がある人など、精鋭を中国全土から選抜しています。
中国政府は、技術的・金銭的な支援のほかにも、ゴールデンタイムのテレビ放送において海外で作られたアニメの放送を禁止したり、主要なチャンネルに対して毎日30分以上国内で制作されたアニメを放送することを義務付けたりするなど、国策としてアニメ産業をバックアップする体制が整っています。
中国が日本のアニメーターを救うのか?
これまで、日本国内で制作されるアニメの一部を、中国のクリエーターに外注していましたが、逆に、中国原作のアニメを日本で制作し、中国で公開しようとする中国企業も出てきました。
それが、東京都内で日本人と事業を立ち上げた「カラード・ペンシル・アニメーション・ジャパン」。日本のアニメクリエーターの多くは、長時間低賃金労働で、不安定な立場に置かれていています。
しかし、同社では、正社員を募集し、残業の少ない環境の整備に努め、家賃を補助するなど、スタッフの待遇に配慮し、優秀な人材を獲得しようとしています。同社の鄧志巍代表取締役社長は「中国と日本の懸け橋になりたい。日本で制作する優秀な作品を中国市場に出し楽しんでもらいたいです」と番組のインタビューに答えました。